耐震基準とは?建築基準法改正による旧耐震と新耐震の違いを解説

井上 恵子
監修者:井上 恵子(いのうえ けいこ)
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所所長。
一級建築士、インテリアプランナー、住宅性能評価員講習修了。
大学卒業後、総合建設会社の設計部で主にマンションの設計・工事監理、性能評価などを担当。独立後は生活者の視点から「安心・安全・快適な住まい」「間取り研究」をテーマに、webサイトや新聞・雑誌へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活動。

地震大国といわれる日本では、住居などを建築する際、建築基準法によって建物の耐震基準が定められています。

耐震基準は長い歴史の中で何度か見直されていますが、大きな改正があった1981年以降に建てられた建物は「新耐震基準」、それ以前に建てられた建物は大きく「旧耐震基準」と呼ばれています。

この記事では、耐震基準の基礎知識とともに、旧耐震と新耐震の基準の違いについて解説します。

長期優良住宅については、こちらの記事もご覧ください。
長期優良住宅の認定基準やメリット・デメリットを徹底解説
【中古の家を買う】購入する前に知っておくべき2つの注意点

査定で分かるのは、価格だけじゃない
査定で分かるのは、価格だけじゃない

あなたの不動産、
売ったら いくら?

あなたの不動産、
売ったら いくら?

step
1
物件種別
step
2
都道府県
step
3
市区町村
step
4
町名
step
5
字・丁目
step1
物件種別
step2
都道府県
step3
市区町村
step4
町名
step5
字・丁目

※家を買いたい方必見!スマホで完結!無料会員登録で未公開含む優良物件情報が届きます。

耐震基準とは

耐震基準とは、建築基準法および建築基準法施行令などによって定められた、建築する建物が最低限満たすべき地震への耐性基準のことです。

日本では、建築基準法の基となる市街地建設物法が1920年に施行されましたが、この時点では耐震基準については全く触れられておりません。

その後、1924年に市街地建築物法が大幅に改正され、初めて耐震基準が盛り込まれました。 1950年には、建築基準法が制定され、当時は主流だった木造住宅における壁量規定が定められ、1959年の改正では、壁量規定が強化されています。

耐震補強工事の費用相場は?助成金制度についても詳しく紹介

1971年の建築基準法の耐震基準

1968年に発生した北海道十勝沖地震がきっかけとなり、1971年の建築基準法の改正では、RC造の建物に対する耐震基準が引き上げられました。

この地震は、住宅の倒壊による被害が多く、実際に600棟以上の全壊、15,000棟以上の建物が一部が損壊する被害がありました。

こうした被害を受け、柱の強度についての改正が主たる内容となっています。
また、この時に、木造住宅の基礎部分に、コンクリートやRCを使用することが盛り込まれています。

1981年の耐震基準の大幅改正

1981年の建築基準法施行令の改正では、建物の耐震基準が大幅に見直されました。 これは、1978年に発生し、甚大な被害を出した宮城県沖地震をきっかけに見直されることなりました。

内容としては、一次設計と二次設計の概念が導入されました。 一次設計とは、許容応力度計算を実施し、日常的な力による建物構造の影響度で、 二次設計とは、保有水平耐力計算を実施し、地震などによる大きな力で倒壊しないことを計算するもので、 それぞれの構造、建物に対して、この数値基準を設けました。

特にこの1981年の新耐震基準は非常に大きな変化で、1981年5月以前の基準で設計された建物を旧耐震基準と言い、 1981年以降に設計された建物は、新耐震基準とされています。 旧耐震基準では震度5の揺れ、新耐震基準では震度7の大きな地震でも全壊しないのを基準として設計されています。

実際に、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震では、 1981年以降の新耐震基準で建設された建物に関して、地震による直接的な建物の被害は少ない状況でした。

なお、この時の新耐震基準の改正によって、建築業界では「旧耐震基準」や「新耐震基準」とい表現で区別されるようになり、新たに住宅を購入する際の耐震基準に準じた建物かどうか見分ける基準となっています。

2000年以降の建築基準法と建築基準法施行令改正

新耐震基準が見直された1981年以降、1995年に発生した阪神淡路大震災では、未曾有の被害となり、実際にビルが倒壊したり、高速道路の柱脚が倒壊し道路が横倒しになったりする被害がありました。

この大地震をきっかけに、耐震基準がさらに見直されることになり、1995年と2000年に基準が見直されています。 大きな変化は、地盤や建物基礎に関する内容と、梁など建物の構造をつなぐ部分の強化が主たる内容となっています。

耐震等評価指針について

2001年には、住宅の倒壊危険性を判断する「耐震等評価指針」が公表され、1~3の3段階の評価されることになりました。耐震等評価指針では、3段階の評価のうち、耐震等級1と判断された建物については、耐震基準の水準を満たしているというレベルで最低基準となっています。

また、耐震等級2以上の強度がある住宅については、長期間の使用に耐えられる建物として「長期優良住宅」の認定を受け、住宅ローンを組む際に金利が引き下げられるなどの優遇措置が講じられることになっています。

新耐震基準と旧耐震基準の違い

1981年に新耐震設計基準が設けられたのを機に、それ以前の耐震基準は「旧耐震基準」と呼ばれるようになり、新耐震基準とは区別されるようになりました。旧耐震基準と新耐震基準の違いは以下のとおりです。

  • 震度5程度の地震に対する基準
  • 震度6程度の地震に対する基準
  • 地震における被害状況

震度5程度の地震に対する基準

旧耐震基準では、震度5程度の地震が発生した際、「倒壊しないこと」を目的に基準を定めています。

具体的には、建物の自重の20%に相当する地震力に対して許容応力度計算を実施し、建物の構造材料が許容応力以下になるようにする耐震設計法が採用されていました。

許容応力度とは、外部から力が加わっても、損傷を残さず元に戻れる範囲内にある応力の限界値のことです。

理論的には、震度5程度の地震なら損傷を受けず、無被害となりますが、あくまで「倒壊しない」ことを基準としているため、倒壊しない程度の損傷が残る可能性があります。

一方新耐震基準では、震度5程度の地震では、軽いひび割れ程度の被害に抑えることを前提としているため、旧耐震基準に比べて建物の被害をより小さくすることが可能です。

震度6以上の地震に対する基準

旧耐震基準では、そもそも震度6以上の地震に対する基準が設けられていませんでした。

ところが、1978年6月12日に、宮城県沖を震源とする「宮城県沖地震」が発生。宮城県仙台市をはじめとする各地域で最大震度5を記録したこの地震では、死者16名、重軽傷者10,119名、住家の全半壊4,3850戸という大きな被害が出ました。[注1]

これを教訓として生まれた新耐震基準では、新たに震度6以上の大規模地震で建物が倒壊・崩壊しないことの検証を実施することが法律で定められました。

この検証で用いられる方法を、旧耐震基準の許容応力度計算に対し、保有水平耐力計算といいます。保有水平耐力計算では、大規模地震時に発生する水平力に対し、柱や梁の曲げ降伏、せん断破壊を確認し、建物の保有する耐力が、必要とされる耐力を上回っているかどうかを検証します。

新耐震基準制定後は、許容応力度計算による検証を一次設計、保有水平耐力計算による検証を二次設計と呼ぶようになり、建物の耐震基準を二段階で計算することが法律で義務づけられています。

[注1]宮城県:宮城県沖地震の概要

被害状況の違い

新耐震基準で建てられた建物と、旧耐震基準で建てられた建物では、大規模地震が発生したときの被害状況に大きな差が出ています。

その最たる例が、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災です。兵庫県南部を震源とし、最大震度7を記録したこの地震は、兵庫県とその周辺の県に大きな被害をもたらしました。

住家については約10万5,000棟が全壊、約14万4,000棟が半壊となっていますが、後の調査により1981年以前に建てられた建物と、それ以降に建てられた建物とでは、被害状況に大きな差が生じていることが確認されました。

旧耐震基準で建てられた建物のうち、「軽微・無被害」で済んだのはわずか3割強。残りの約4割は「中・小破」、3割弱は「大破以上」と認定されています。[注3]

一方、1981年以後の新耐震基準で建てられた建物に関しては、「大破以上」は1割弱、「中・小破」も2割弱に留まっており、7割強は「軽微・無被害」で済んでいます。

阪神・淡路大震災では多数の死者が出ましたが、その死因のうち約9割は「家屋、家具類等の倒壊による圧迫死と思われるもの」です。

「中・小破」以上の被害が3割に満たない新耐震基準の建物では、家屋、家具類等の倒壊による死者数も少なかったため、新耐震基準は建物そのものだけでなく、人命も守る設計であるといえるでしょう。

[注2]内閣府 防災情報のページ:阪神・淡路大震災教訓情報資料集阪神・淡路大震災の概要

[注3]国土交通省:住宅・建築物の耐震化について

旧耐震基準時代の建物も住める

旧耐震基準時代の建物であっても「壁式構造」の建物は、新耐震基準を満たしていることが多いです。壁式構造とは、5階以下の低層マンションなどに利用される構造で、強固な鉄筋コンクリートで作られいるので地震に強い構造となっています。

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の調査によると、1981年5月以前の建物の2割弱が新耐震基準を満たしているといった結果がでています。そのため、必ずしも旧耐震基準時代の建物が住めないという訳ではありません。

旧耐震基準時代の建物が耐震基準を満たしているか知りたい場合は耐震診断を受けるようにしましょう。

旧耐震基準物件のメリット・デメリット

旧耐震基準物件のメリット・デメリットは以下のものが挙げられます。

旧耐震基準物件のメリット 旧耐震基準物件のデメリット
物件価格が安い 住宅ローン減税制度が使えない
立地条件が良い 既存住宅売買瑕疵保険に加入できない

旧耐震基準物件のメリット

旧耐震基準物件は新耐震基準と変わらない強度をもつ建物がある以外にも、物件価格が安い・立地条件が良いなどといったメリットがあります。

物件価格が安い

物件の価値は築年数が経つにつれて下がるため、築年数が経っている物件は、価格が落ち着いており安く購入できることが可能です。一般的に築20年以降の物件は横ばいで推移していくとされています。

また、マンションの場合は築20年程で新築購入時の半額近くまで下落している物件もあり、築20年以降の物件を購入してリフォーム・リノベーションする世帯が増えています。

立地条件が良い

旧耐震基準物件は、駅前や商業施設の付近など立地条件が良いケースがあります。新築や築浅物件を探す場合、売出し中の物件がないことも珍しくありません。

旧耐震基準物件のデメリット

新耐震基準が制定されて以降、旧耐震基準で建てられた建物の価値は下がり、中古住宅市場でも相場より安い価格で売買されています。

物件取得の予算を抑えたい方にとっては大きなメリットですが、その分デメリットもあるので注意しましょう。

住宅ローン減税制度が使えない

住宅ローン減税制度とは、住宅ローンの金利負担を軽減するために制定された措置のことです。
同制度を利用すると、毎年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうち、いずれか少ない方の金額の1%が、10年間にわたって所得税額から控除される仕組みになっています。

新築物件だけでなく、中古物件も要件を満たせば住宅ローン減税制度を利用できますが、主な要件のなかに「耐震性能を有していること」という項目が挙げられています。[注4]

耐震性能を有しているか否かは、以下いずれかに適合するかどうかで判断されます。

1. 築年数が一定年数以下であること
2. 以下のいずれかによって現行の耐震基準に適合していることが確認されていること

  • 耐震基準適合証明書
  • 耐震等級1以上の既存住宅性能評価書
  • 既存住宅売買瑕疵保険への加入

耐震基準適合証明書については住宅の造りによって年数が異なり、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造など耐火建築物の場合は築25年以内、それ以外の建物(木造など)については築20年以内であることが要件となります。

新耐震基準が制定されたのは1981年ですので、旧耐震基準で建てられた住宅は、すでに築20年ないし25年は超えています。そのため、基本的には旧耐震基準物件は住宅ローン減税の適用は受けれません。

しかし、平成26年度の税制改修により旧耐震基準の中古住宅を取得した場合でも、所定の要件を満たしたうえで手続きを行えば、以下4つの特例措置の適用が認められることになりました。[注5]

  • 住宅ローン減税の適用
  • 直系尊属から住宅取得投資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
  • 住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例措置
  • 既存住宅に係る不動産取得税の特例措置

所定の要件は項目ごとに異なり、4つすべての特例措置が適用されるわけではありません。

1〜3の特例措置を適用するには、築20年以内の非耐火建築物及び築25年以内の耐火建築物であることが条件になっています。

4の特例措置の適用には、1〜3と同様の条件を満たし、昭和57年1月1日以降に建てられた住宅であることが必須です。

さらに、1981年の新耐震基準に適合していて、それ以降の建築基準法の改正を含めた「現行の耐震基準」にも適合している必要があります。

現行の耐震基準に適合していることを証明するには、耐震診断等によって要件をクリアしていることが確認された場合に発行される「耐震基準適合証明書」の提出が必要です。

耐震基準適合証明書は、中古住宅の売買契約の締結後から引き渡しまでの間に申請し、かつ耐震改修工事完了後から入居日までの間に取得しなければなりません。

また、証明書の交付には所定の手数料が必要で、戸建て住宅の場合は現地調査および書類審査、証明書の発行と送付にかかる費用として1住戸につき6万9,300円(税抜)がかかります。
住宅ローン減税制度の節税効果は大きいので、同制度を利用することを検討しているのなら、物件選びの段階で耐震性能の要件をクリアしているかどうか確認しておくことが大切です。

[注4]国土交通省 すまい給付金:住宅ローン減税制度利用の要件

[注5]株式会社 日本住宅保証検査機構:中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合の住宅ローン減税等に係る耐震基準適合証明書交付業務のご案内[pdf]

既存住宅売買瑕疵保険に加入できない

既存住宅売買瑕疵保険とは、物件の引き渡し後、一定期間中に目に見えない欠陥(瑕疵)が見つかった場合、売主が買主について補償することを約束するものです。

既存住宅売買瑕疵保険への加入は任意ですが、瑕疵は建物の耐久性に関わる重大な欠陥であるケースが多いため、同保険に加入していない中古物件を購入するのは買主にとって大きなリスクとなります。

ただし、既存住宅売買瑕疵保険に加入するには、新耐震基準に適合した住宅であることが最低条件となります。

旧耐震基準の建物であっても、耐震基準適業証明書等の提出によって、現行の耐震基準を満たしていることが証明されれば加入できますが、1981年以前に施工された住宅の場合、そのままの状態では保険に入ることはできません。

瑕疵保険に未加入の物件を購入し、後に瑕疵が見つかった場合、瑕疵の補修や修繕にかかる費用は買主がすべて負担しなければなりませんので、旧耐震基準で建てられた中古物件を購入する際は十分注意が必要です。

物件購入の際の注意点

物件購入の際は、新旧耐震の確認や建物の構造を確認しておくことが大切です。

新旧耐震の確認

建物の建築日を確認する方法としては、検査機関による建築確認証や検査済証で確認することができます。建築確認証に1981年6月1日以降の日付が記載されていれば、新耐震基準を満たしている物件です。耐震基準に不安がある場合は建築確認の申請をすると良いでしょう。

建物の構造を確認

地震に強い建物の構造で「耐震」「制振」「免震」があります。物件を購入する際は地震対策がされているか、地震に強い構造かを確認するのも大切です。

耐震構造

耐震構造とは、頑丈な柱・梁で地震などの揺れで倒壊しない強度の高い構造です。耐震構造は基盤から頑丈に組み立てるので倒壊などの決定的な被害を避けることができます。しかし、地震が発生した際に、そのエネルギーが直接建物に伝わるため、壁などの損傷を受けることもあります。1981年の改正以降では多くの物件が耐震構造です。

免震構造

免震構造とは耐震構造と違い、地震が発生した際にそのエネルギーが直接建物に伝わらない構造です。免震構造は建物と地盤の間に特殊なゴムなどを取り入れており、その特殊なゴムが地震などの揺れを吸収し揺れを軽減してくれます。

免震住宅とは?耐震・制震との違いや建てる際の注意点を解説

制振構造

制振構造とは、免震構造と似ており地震が発生した際にそのエネルギーが直接建物に伝わらない構造です。制振構造は建物の中におもりやダンパーを設置し、風の揺れに強く建物全体の揺れを軽減することができます。

物件選びでは耐震性も意識

自身が住む住宅やこれから物件を購入する方は、その物件が新耐震基準を満たしているか確認しておくことが大切です。新旧耐震の確認方法は検査機関による建築確認証や検査済証で確認することができます。地震の多い日本で安全に暮らすためにも建築時の記録を確認してみてはいかがでしょうか。

また、マンション購入を検討している方はこちらの記事もご覧ください。
低層マンションならではの魅力や購入時に注意することを解説
中古マンション購入で失敗して後悔しないために!12個の失敗例と対策

地域に密着した不動産の売却情報あなたの地域に合った売却情報をチェックできます。各地域ごとの地価変動や、実際の売却事例を見てみましょう。

マンションを売る

あなたの不動産、
売ったら いくら?

あなたの不動産、
売ったら いくら?

step
1
物件種別
step
2
都道府県
step
3
市区町村
step
4
町名
step
5
字・丁目
step1
物件種別
step2
都道府県
step3
市区町村
step4
町名
step5
字・丁目
完全無料
【完全無料】うちの価格いくら?