分譲物件や賃貸物件を探しているときに「メゾネットタイプ」という文字が記載されている物件を見たことはある方は多いでしょう。メゾネットタイプは簡潔にいうと、マンション部屋の中に階段があって2階建てになっている物件のことを指します。
一般的におしゃれで開放的なイメージが強いメゾネットタイプのマンションとは、具体的にどのような物件なのでしょうか。
本記事では、メゾネットタイプのマンションのメリットやデメリットを中心に解説します。メリットやデメリットとともに購入するときの注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
メゾネットタイプのマンションとは
メゾネットタイプのマンションとは一戸の住宅の中に内階段があり、2階層で構成された物件のことです。メゾネットとは、もともと「小さな家」を意味するフランス語の「maisonnette」という単語が由来です。
メゾネットタイプのマンションであれば、マンションやアパートといった集合住宅でも一軒家のように空間を使えるようになります。このタイプの物件は人気なうえに数が少なく、希少性は非常に高いです。
同じ物件内でも低層階はフラットタイプの間取りで、高層階の部屋にのみメゾネット構造を導入しているケースが多い傾向にあります。
メゾネットタイプとロフトやテラスハウスの違い
集合住宅の中に内階段があると聞くと、ロフトやテラスハウスを思い浮かべる人も多いかもしれません。メゾネットとロフトやテラスハウスとでは実は違いがいくつかあります。この章ではそれぞれの違いについて紹介していきます。
メゾネットとロフトの違い
メゾネットとロフトの違いは窓設置の可否や内階段の有無などが異なっています。両者の違いを比較すると以下の表のとおりです。メゾネット | ロフト | |
---|---|---|
設置の目的とスペース | 居室扱いでスペースの制限はない | 面積が居室の2分の1未満、高さが最大1.4mまでのスペースで「小屋裏物置等」に分類される[注1] |
窓設置の可否 | 窓の設置が可能 | 窓の設置は不可能 |
内階段の有無 | 内階段の設置がある | 内階段ではなくハシゴの設置 |
メゾネットとロフトを見分ける際は上記のような違いで見分けるとよいでしょう。
メゾネットとテラスハウスの違い
メゾネットとテラスハウスの違いは共用部やエントランスなどがあるかないかの違いです。
テラスハウスとは、建築基準法では長屋に分類される2階建ての物件のことを指します。2階建ての家が壁を隔てて連なっている点が特徴で、2~5軒程度がまとまって建設されることが多いです。室内は2階構造になっているため、メゾネットと同様に1階と2階の居室で生活をすることが可能です。各居室には戸建てのように玄関扉が設けられており、住人で共用するエントランスなどは存在していません。
家の中が2階建てになっている点はメゾネットと共通していますが、メゾネットはあくまで共用部やエントランスなどがある集合住宅に対して使用する言葉です。それぞれの意味をしっかりと理解しておきましょう。
メゾネットタイプのマンションのメリット
1階部分と2階部分をそれぞれ活用できるメゾネットタイプのマンションには、以下5つのメリットがあります。
- 階層によって使い方を分けられる
- プラベート空間を守れる
- 騒音対策になる
- 開放感があっておしゃれ
- ペットや楽器などの条件が寛容
階層によって使い方を分けられる
メゾネットタイプのマンションは、一軒家とマンションのよいとこ取りができる物件です。一軒家のよいところは階層ごとに使い方を分けられることでしょう。
たとえばリモートワークをしている場合は、2階部分を仕事場として活用することで仕事のオン・オフを切り替えやすくなります。ほかにも1階は寝室、2階は趣味の部屋にするなど、使い方をガラッと変えられるのがメゾネットタイプの特徴です。
また、階層ごとにインテリアの雰囲気を変えてみても面白いかもしれません。メゾネットタイプのマンションを購入した際は、ぜひ色々な使い方を試してみてください。
プラベート空間を守れる
また、プライベート空間を守れる点も、メゾネットタイプにおけるメリットです。たとえば、1階部分を日中の生活スペースとして利用し、2階部分を寝室として利用すれば、急な来客があってもプライベート空間を保護することができます。
また、人には見せたくないものがあるときや部屋が散らかっているときは、荷物を2階部分に移動させることで来客に対応できます。家族間で階層を分けて過ごすようにすれば、それぞれのプライベート空間を保護しやすくなるでしょう。
メゾネットタイプのマンションであれば、活動時間が異なる夫婦や友達同士でルームシェアするときも快適に過ごせます。
騒音対策になる
さらに、足音などの騒音が気になりにくい点も、メゾネットタイプの特筆すべきメリットです。子どもやペットなどの騒音を気にする人のなかには、マンションの1階に絞って物件探しをしている人も多いかもしれません。しかし、メゾネットの2階部分を子供部屋にすれば、下の階への影響を気にすることなく生活できるようになります。
ただし、子どもやペットをメゾネットタイプのマンションで生活させるときは、階段からの転落や怪我に気をつける必要があります。そのため、転落防止のケージを設置し安全対策を講ずるようにしましょう。
開放感があっておしゃれ
メゾネットタイプのマンションは開放感と高級感を集合住宅とは思えないようなおしゃれな空間を演出してくれることもメリットでしょう。メゾネットタイプのマンションは一軒家のような吹き抜けがある点が特徴的ですので開放感ある空間を堪能できます。
ただし、天井の照明交換や窓を掃除する際の手間など、メゾネットタイプのメリットは生活をしていくうえのでデメリットにもなることがあります。そのため、物件を決めるときは実際の生活動線をシミュレーションしてからにしましょう。
住環境を重視したい方はこちらの記事もご覧ください。
マンションの方角を選ぶときのメリットとデメリットを比較!
マンションキッチンの種類やリフォームにかかる費用相場を紹介
ペットや楽器などの条件が寛容
メゾネットタイプのマンションは比較的騒音対策がしやすい仕組みになっているため、ペットや楽器などの条件が寛容になっているケースが多い点もメリットです。
上下階に分かれているメゾネットは、音が部屋に響きにくいという特徴を持っています。なかには、マンションでありながら比較的大きな音が出るピアノが設置できる物件も存在しています。
ただし、完全に音が遮断できるわけではないため、「ヘッドフォンを使用する」「音量を絞る」などの一定の配慮は持つようにしましょう。
マンションでペットを飼うことを検討している方はこちらの記事もご覧ください。
猫をマンションで飼うときの注意点は? 事前に確認すべきこととトラブル対策
メゾネットタイプのマンションのデメリット
メゾネットタイプのマンションはメリットが豊富ですが、以下7つのデメリットも存在します。
- 家事の動線が複雑になりやすい
- 光熱費が高くなってしまう
- 家具の搬入が面倒
- インターネット回線の利用時に注意が必要
- 子どもやお年寄りには不便
- 面積が狭いことがある
- 階段の上り下りの音が気になる
メゾネットタイプのマンションを購入して後悔しないためにも事前にメゾネットタイプのデメリットを理解しておくとよいでしょう。
家事の動線が複雑になりやすい
メゾネットタイプのマンションは、水回りの設備配置やベランダの位置などによって、生活動線が複雑になりやすいというデメリットがあります。たとえば洗濯機の設置場所が1階部分、ベランダが2階部分にある場合、洗濯をするときは重い洗濯物を持って階段を行ったり来たりする必要が出てきてしまいます。さらに、掃除機をかけるときも階段の上下があるため、フラットタイプの物件に比べると負担が増えるでしょう。
光熱費が高くなってしまう
光熱費が高くなりやすい点も、メゾネットタイプのマンションにおけるデメリットです。メゾネットは上下方向に空間が広がるため、フラットタイプの物件と比べると部屋全体に冷暖房が効くまで時間がかかります。「暖かい空気は上に溜まり冷たい空気は下に溜まる」という特性を生かして冷暖房を活用すれば、多少光熱費を節約できます。ただし、こういった条件は物件や冷暖房の性能によって異なるため、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
家具の搬入が面倒
メゾネットタイプのマンションの場合、室内に階段があるため家具の搬入が面倒になってしまう危険性があります。とくに大きな家具を搬入する場合、業者によっては数万円単位の追加料金が請求されてしまうこともあるため注意しましょう。
インターネット回線の利用時に注意が必要
上下階に分かれるメゾネットタイプの場合、その広さゆえにインターネット回線が届きにくい場所が出てきてしまうことがあります。別途で中継ルータが必要になることもあるため、引っ越しの際は必要に応じて準備しておきましょう。
物件によっては、フロアごとにLANポートが引き込まれているケースもあります。希望の場合は内覧時に確認しておくことをおすすめします。
子どもやお年寄りには不便
家の中に階段があるメゾネットタイプのマンションは非常におしゃれですが、子どもやお年寄りにとっては不便であることを理解しておく必要があります。上り下りが負担になるだけではなく、場合によっては転倒による怪我のリスクもあるかもしれません。「今は若い夫婦2人だから大丈夫」だと思っていても、将来子どもが生まれたり年齢を重ねたりしたとき、メゾネットタイプのマンションだと住みにくくなる可能性はあります。マンション購入時は、今後のライフプランを見据えて物件選びをしましょう。
バリアフリー設計にこだわりたい方はこちらの記事もご覧ください。
バリアフリー住宅とは?設計でのポイントや注意すべきこと
面積が狭いことがある
メゾネットタイプのマンションは階段や吹き抜けがある分、床面積が狭くなっているケースが多い点に注意しましょう。
空間を効率的に使いたいのであれば、やはりフラットタイプの物件の方に軍配が上がります。
逆に部屋の狭さは気にしないという方はこちらの記事もご覧ください。
コンパクトマンションとは?その魅力やおすすめの人・注意点
階段の上り下りの音が気になる
メゾネットタイプのマンションは騒音が気になりにくいですが、例外として階段の上下音が響きやすいところがデメリットです。とくに静かな深夜に隣人が階段を上り下りすると、足音が響いて気になってしまうかもしれません。そのため、防音性についてはしっかりと確認しておきましょう。
防音性を重視したい方はこちらの記事もご覧ください。
低層マンションならではの魅力や購入時に注意することを解説
メゾネットタイプのマンションが向いている人
メゾネットタイプのマンションが向いている人の特徴としては、集合住宅とは思えない開放感や高級感を求める人や家族との生活時間帯が異なる人に向いています。また、来客が多い人にとってもメゾネットがあることでプライベートの空間を隠すことができます。
小さい子供がいる家庭においてもメゾネットタイプのマンションは向いているでしょう。階段の上り下りは注意しなければなりませんが、上の階で遊ぶことで下の階への騒音の心配はなくなります。ただし、メゾネットタイプのマンションは人気があり、一軒家のような空間を堪能できますがデメリットもあることを理解したうえで購入するか検討するようにしましょう。
メゾネットタイプのマンションを購入する際のポイント
メゾネットタイプのマンションを購入する際は以下4点を確認してから購入するようにしましょう。
- 防音設計になっているかどうか
- 水回りの利便性が高いかどうか
- 収納や家具の置き場が足りるかどうか
- 階段の上り下りがきつくないか
防音設計になっているかどうか
メゾネットタイプのマンションは防音性が高い物件が多いですが、先述したように階段の上下音や足音が響いてしまう物件も存在しています。快適な生活をするためにも、音が響かないか、防音性は高いのかをしっかり確認しておきましょう。マンションではありませんが、木造のアパートは防音性が低い傾向にあります。メゾネットタイプの賃貸物件に入居するときは注意しましょう。
水回りの利便性が高いかどうか
メゾネットタイプのマンションを選ぶときは、以下3点のような水回りの利便性を確認しておきましょう。
- 来客間とトイレは同じ階にあるか
- 洗濯機置場とベランダは同じ階にあるか
- 洗濯や料理、入浴などは1フロアで完結させられるか
上記のように実際の生活動線をイメージしながら物件を内覧すると、マンション選びで失敗しにくくなります。
収納や家具の置き場が足りるかどうか
メゾネットタイプのマンションは階段や吹き抜けがある分、床面積は狭めになっています。そのため一見広いスペースがあるように見えても「入居後、実際に家具を搬入したら面積が足りなかった」と後悔するケースは少なくありません。
設置する家具や収納の量を具体的に把握しておき、置き場が足りるかどうかをしっかりと確認しておきましょう。階段の上り下りがきつくないか
メゾネットタイプのマンションを購入するときは、階段の上り下りがしやすいかどうかも確認してください。螺旋階段はおしゃれですが、荷物や家具を持っていると上り下りしにくかったり、子どもが転倒してしまったりする危険性があります。階段の角度や段差の高さなど、細かいポイントについても確認しておくことが大切です。
メゾネットタイプのマンションの探し方
メゾネットタイプのマンションの探し方としては以下2つの方法があります。
- 不動産会社から希望の物件を提案してもらう
- 不動産物件情報サイトを利用して自分で探す
メゾネットタイプのマンションは人気があり、希少性も高いためご自身で探していくことも大切です。上記2つの方法を参考にぜひ探してみてください。
不動産物件情報サイトを利用して自分で探す
不動産物件情報サイトはさまざまな条件で物件を検索できるため、マンション探しの際は活用してみてください。不動産物件情報サイトでマンションを探すポイントは「こまめにサイトをチェックする」です。
不動産物件情報サイトは定期的に物件情報が更新されます。とくに中古マンションは新築マンションよりも売買件数が多く、急に売買募集が掲載されるケースもあるのでこまめに確認するようにしましょう。
現在、希望するエリアが決まっており中古マンションの購入を検討している方はHousii(ハウシー)を是非利用してみてください。
メゾネットタイプのマンションは魅力が豊富な物件
おしゃれで開放感のあるメゾネットタイプのマンションには、一軒家やフラットタイプの物件にはない魅力が豊富に存在しています。メゾネットタイプのマンションは数が少なく人気も高いため、お気に入りの物件を見つけたら早めに物件を確保しておくことをおすすめします。
また、マンション選びのポイントはマンションタイプや間取りの他にもたくさんあります。例えば、周辺環境や室内設備、セキュリティなどなど…。
どんな物件がいいか悩んでいるならHousii(ハウシー)で不動産会社に相談してみませんか。
Housiiなら不動産会社にチャットで相談できて、あなたの希望条件にピッタリの物件まで代わりにお探し。未公開物件を含む自分じゃ探せない物件に出会えるかも。
自分で調べるよりも、プロの提案を待ってみませんか。匿名登録だから、不動産会社からの電話がくる心配はありません。
マンションの購入を考えている方はこちらの記事もご覧ください。