マンションを建てるには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
本記事ではマンションの建築にかかる費用やマンションを建てる流れをわかりやすく解説します。
マンションの建築費は、重量鉄骨造で坪単価90万円~120万円、鉄筋コンクリート造で坪単価96万円~125万円
マンションの建築にはマンション本体の工事費の他に、付帯工事費、諸費用がかかる
マンションを建てるなら、まずは建築会社に問い合わせて大まかなプランや資料、概算見積もりを取り寄せよう
マンションの建築費については以下の記事をご覧ください。
マンションを建てる費用
マンションを建てようと思った際、いったいどのくらいの費用がかかるのでしょうか。この章ではマンション建築費の相場を紹介します。
マンション建築費の相場
マンションの建築費用相場は、鉄筋コンクリート造(RC造)で1坪あたり96万円~125万円です。
80坪の土地に5階建てのマンションを建てる場合、2億円~3億円程度になります。
加えて、付帯工事費と諸費用(建築費の10%~20%)が上乗せされた額がマンションを建てる際に必要な金額になります。
例として以下の表では50坪の土地にマンションを建てる際にかかる費用を構造別、階数別に紹介しています。
S造(鉄骨造) | RC造 | SRC造 | |
---|---|---|---|
3階建て | 11,400万円 | 14,100万円 | 18,000万円 |
4階建て | 15,200万円 | 18,800万円 | 24,000万円 |
5階建て | 19,000万円 | 23,500万円 | 30,000万円 |
上記で紹介しているのはあくまでも目安です。マンションを建てる地域や建築会社によって建築費用は異なります。
マンション建築費の内訳
マンションを建てる際は本体工事費とは別に駐車場や外構工事などの付帯工事費、不動産取得税や保険料などの諸費用がかかります。
本体工事
マンションは、その構造によって坪単価の相場が異なります。
賃貸マンションの構造には、重量鉄骨造か鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が用いられるのが一般的です。
▼参考・構造別坪単価相場
構造 | 坪単価の相場 |
---|---|
木造(W造) | 坪単価74万円~105万円 |
軽量鉄骨造 | 坪単価80万円~105万円 |
重量鉄骨造 | 坪単価90万円~120万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 坪単価96万円~125万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 (SRC造) | 坪単価 110万円~140万円 |
(イエウール編集部調べ)
マンションの建築費を試算するには、坪単価に建築予定のマンションの延べ床面積を掛け算します。
付帯工事
マンションを建てる際には、建築費用だけでなく水道やガスを設置するためのインフラ整備費用、敷地の整地費用、地盤確認費用など、さまざまな付随費用が発生します。
マンション本体を建てる費用とは別に、これら付随工事にかかる費用を付帯工事費と呼び、本体建築費の10%~20%ほどです。
諸費用
マンションを建てるにあたって、建築費用とは別にアパートローンを借りる際の手数料や不動産所得税、火災保険料、入居者募集のための広告掲載費など諸費用がかかります。
これらの費用は、マンションの規模や選ぶプランによって異なりますが、おおよそ本体建築費用の5%~10%ほどになります。
建築費シミュレーション
ここでは、実際にマンションを建てる際にかかる費用をシミュレーションで計算してみます。
エリア:東京
特徴:6階建て
ターゲット:1人暮らし(1部屋7.5坪)
構造:RC造
敷地面積:100坪
建ぺい率:80%
まず、建物を建築できる建築面積は、「敷地面積 × 建ぺい率」で求めます。この場合は、80坪分がマンション建築するために使える面積だと考えましょう。
マンション建築費用は上で紹介した通り、「坪単価 × 延べ床面積」で計算できます。今回は6階建てのマンションを建築するため、延べ床面積は各フロアの面積×6になります。
また、東京でRC造のマンションを建築する場合の坪単価は、約117万円です。これらの値をもとに、実際に建築費用を計算してみましょう。
= 117万円 × (80坪 × 6階)
= 5億6,160万円
上記がマンション建築費用のシミュレーションです。
ここからおおよそ10%~20%ほど付帯工事費や諸費用が上乗せされます。
実際にどんなマンションが建てられる?
実際にお持ちの土地にマンションを建てるとすると、どんなマンションを建てられるのでしょうか?
オーナー様の土地面積に合ったマンション建築事例を紹介します。
- 建築予算と土地面積を入力してね
マンションを建てる流れ
マンションは、以下の流れで建築していきます。
- 建築会社に相談する
建築プランを確認する
建築会社を選定・契約する
ローンの本審査を受ける
着工~竣工
建築会社に相談する
マンションを建てようと思ったら、まずはマンションの建築を請け負う建築会社に相談します。
マンションの建築を依頼できる会社には、ハウスメーカーや工務店、中堅ゼネコンなどが挙げられます。
各企業へ相談するには、企業のHPから問い合わせたり、土地活用比較サイトを利用する方法があります。
- 「イエウール土地活用」の一括見積なら、1回の情報入力でまとめて複数社に問い合わせられるので便利!
問い合わせ時には、マンションを建てたい土地の立地や敷地面積などを伝えて、それを元に大まかなマンションの建築・経営プランや資料を送付してもらいます。
\建築費は?初期費用は?/
その土地でマンションは建てられる?
土地には、さまざまな法令によって建築できる建物に制限がかけられています。お手持ちの土地に希望する大きさのマンションが建てられるかどうかは、土地の建築規制を確認する必要があります。
▼用途地域
用途地域は建築できる建物の用途を制限した地域のことです。用途地域に反する条件の建物をそのエリアで建築することはできません。
そのため、マンションを建築する場合は土地の用途地域をきちんと調べておくことが大切です。
用途地域は13種類あり、共同住宅であるマンションは、工業専用地域を除いた12種類のエリアで建築可能です。
参考:国土交通省
▼建ぺい率と容積率
建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合のことです。用途地域によって建物の面積が制限されているため上限を確認しておくことが大切です。
容積率は敷地面積に対する延べ床面積の上限になります。2階建ての場合、1階の床面積と2階の床面積を合計した面積が上限を超えないことが求められます。
▼前面道路の接道義務
土地に新たに建物を建てる場合、土地が建築基準法上の「道路」と2m以上の間口で接していなければなりません。これを接道義務といいます。
また、土地と接する道路の幅員は4m以上でなければなりません。もしも設置している道路が4m未満の場合は、セットバックが必要となります。
建築会社から提案されるマンションの建築プランは、土地の建築条件を満たすように設計されています。ご自身でも調べてみたい方は、打ち合わせ時に担当者に尋ねたり、用途地域マップや自治体のHPなどで調べてみましょう。
建築プランを確認する
初めの相談から1~2週間以内に、建築会社側からマンション建築に関するプランや資料が届きます。
建築会社から提案されるプランには、マンションの設計案や費用の概算見積もり、収支計画などが含まれています。
建築会社の担当者の説明と提案されたプランを元に、マンションの建築について検討を深めていきます。
- 複数の会社からプランや資料を取り寄せて比較したり、更に詳しく相談しながら、建築するマンションのイメージを具体化していきましょう!
建築会社を選定・契約する
予算や要望に合う建築プランがまとまったら、プランを提案してくれた建築会社と工事請負契約を締結します。
正式な契約を取り交わすと、キャンセルに違約金などが発生する可能性があります。
後々トラブルを防ぐためにも、少しでも不安な点や不満な点があれば、あらかじめ担当者に確認しておきましょう。
ローンの本審査を受ける
契約した建築会社に具体的な設計をしてもらう間に、アパートローンを借り入れる金融機関の本審査を受けます。
アパートローンとは、マンションやアパートの建築や購入に利用できる、不動産投資用のローン商品です。
金融機関によって多少の差はありますが、一般的なアパートローンの金利は1%~5%で、用途無制限のプロパーローンよりも金利が安くなっています。なお、賃貸経営用のマンションの建築費には住宅ローンは使えません。
アパートローンの本審査では、基準は、以下の通りです。
- 借主の属性(年収、勤務先、家族構成、銀行との取引状況など)
- 不動産経営の実績
- 事業計画書(建築予定のマンションの収益性)
- 保有している資産の状況
このうち、特に重要視されるのが、建築予定のマンションの収益性です。
アパートローンの場合、マンション経営が軌道に乗っていれば、毎月一定の収入が発生するため、継続的に返済できます。借主が死亡して相続が発生しても、相続人がマンションからの家賃収入で返済を続けられるため、借主の年齢制限がないことも特徴です。
ただし、長期的な返済を続けられる収益性が見込めない場合や、事業計画書の作りが粗いと判断される場合には、融資を断られる可能性が高くなります。建築会社の担当者と相談しながら、収益シミュレーションを精密に立てておきましょう。
着工~完工
アパートローンの本審査を通過したら、いよいよマンションの建築が着工します。
一般的に、マンションの建築工事には「建てるマンションの階層数+3~5ヶ月」の期間がかかるといわれています。たとえば5階建てのマンションの場合は、8~10ヶ月の工期が目安です。ただし、雨天・荒天で工事が進められない日が多いと、工期に遅れが生じます。
竣工後にスムーズなマンション経営を始めるためには、建築工事中の段階から管理会社や不動産会社と相談し、入居者を募集しておくようにしましょう。
また、納期に遅れがないかどうか適度に確認したり、現場を視察したりしましょう。
マンションを建てる前には複数業者に相談しよう
マンションを建築する可能性が出てきたら、複数の企業の建築費用の見積もりを比較しましょう。マンションの建築費用は設計や工法によって大きく異なり、企業によって収益が1,000万円以上変わることもあります。
建築費がいくらなら収益性の高いマンション経営ができるのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
イエウール土地活用なら土地所在地を入力するだけで複数の大手ハウスメーカーの見積もりを一括請求することができます。
\建築費は?初期費用は?/
活用事例:「Clair 荒町」 活気あふれる地域をリードする5階建の店舗併用賃貸マンション
収益性の高いマンションを建てる時のポイント10個
マンション経営を考えるのであればマンションの建築を計画する段階から収益性などに目を向ける必要があります。ここでは収益性の高いマンションを建てる際のポイントを紹介します。
賃貸需要のある立地かどうか
マンションの建築を計画する上で重要なのが立地です。いくら物件にこだわっても、立地を考えずにマンションを建ててしまうと収益を見込めない可能性があります。
一般的に都心部では通勤に便利な駅の近く、具体的には駅から10分圏内の賃貸需要が強いですが、郊外では病院や空港、工場など雇用環境が充実している場合、駅から離れていても賃貸需要があります。
また、ファミリー世帯の多い地域では分譲マンションの需要が高い一方、単身世帯では賃貸需要が高いです。
よって、賃貸需要のある立地というのは単身者の雇用環境の有無が大きく関係します。
ベランダは南向き
マンションを建てる際、ベランダを南向きに設計します。
入居希望者が物件を選ぶ際の基準としてベランダの向きは重要な要素の一つです。ベランダの向きは南→東→西→北向きの順に人気があります。
ベランダが南向きの部屋は、ある程度高い家賃設定でも埋まりやすいため、高い収益性が期待できます。
ワンルームタイプを主流に
賃貸マンションは、ワンルームタイプの間取りを主流にします。理由として、賃貸マンションは単身者の需要が高く、広い部屋よりも狭い部屋が人気だからです。また、ワンルームは比較的、家賃が安いため入居率が高くなります。
ワンルーム1部屋に対しての収益性は低いですが、1部屋の表面積が狭い分、戸数を増やすことができマンション全体の収益性を高める事ができます。
部屋の形は長方形
部屋の形は長方形などの整形に限ります。
ワンルームマンションは部屋が狭いため、形状が悪いと家具を配置した後にデッドスペースが生じやすくなります。よって、整形以外の部屋の形は入居率が悪くなり、収益性が小さくなります。
トイレとバスルームは分ける
マンションを選ぶ際に、トイレとバスルームが独立していることを条件とする人は多いです。
ユニットバスにすることで、入居者の幅を狭めることになります。多少、生活空間が狭くなってもトイレとバスルームは分けるなどニーズの多い部屋つくりを意識する必要があります。
一階部分は貸店舗を検討
マンションの一階部分は住居ではなく貸店舗を検討しましょう。
マンションの1階部分はセキュリティ面などから空室が目立ちます。1階部分の空室対策として貸店舗を検討するといいでしょう。1階の店舗は、2階以上の住宅部分よりも賃料単価が高くなります。
ただし、店舗付マンションを建築するとなると区域が制限されている他、当初の建築費用より高額になることがあるので、きちんとした見積を取るようにしましょう。
エントランス部分は豪華に
マンションを建てる際はエントランスなどの共用部にコストをかけることが基本です。
特に、エントランスは入居希望者が入居の決め手となる重要な部分になります。
例えば、「石」や「大判タイル」などで仕上げをしたエントランスはマンション全体に高級感を出すことができます。
見栄えの良いマンションは、ある程度高い家賃設定でも入居率をキープできるので安定した高い収益を期待できます。
セキュリティ面の強化
セキュリティを強化することは、空室対策の一つでもあります。よって、新築当初から十分なセキュリティを備えておくことも重要です。
オートロックや防犯カメラなどは、新築なら当然に装備されているシステムになります。セキュリティを強化することで単身の女性からのニーズも高まります。
人気設備の導入
給湯器やエアコン、ウォシュレット付便座など、王道な付属設備の設置の他、人気の設備を導入することで、入居希望者は入居の決め手となるでしょう。
「宅配ボックス」などは近年人気の高い設備の一つです。人との接触をなるべく減らしたい人や、普段帰宅が遅いために荷物を受け取るタイミングが難しい人などのニーズに答える設備になります。
また、最近ではリモートワークが主流になったために「無料Wi-Fi」の設置が当たり前になりつつもあります。
時代の変化に合わせ、入居者が求める設備の導入することで入居率アップにも繋がります。
駐車場・バイクスペースの確保
マンションを建築する際に是非、検討したいのが駐車場の確保です。ファミリー層の多い地域では車の所有率も高く、駐車場があるかないかは空室率に大きく影響します。
また、バイク置場の設置も検討しましょう。ワンルームマンションの場合ターゲットは、単身者のためバイク置場の需要が高く、入居者募集に効果があります。
マンションを建てるなら今!
マンションの建築素材の高騰に加え、近年では職人の減少・高齢化により、マンション建築費に占める人件費は上昇傾向が続くと考えられます。
また、連日「金利引き上げ」のニュースを耳にするように、2022年11月以降大手銀行が次々に住宅ローン金利の引き上げを実施しました。
固定金利であるフラット35の金利も、令和4年以降「借入期間が21年以上35年以下」「借入期間が20年以下」のいずれも金利が上がり始めています。
今後、建築材料費の高騰や人件費の上昇だけでなく、金利の上昇も続くと考えられます。よって、マンションの建築を考えるのであれば、なるべく早い時期がおすすめです。