土地を相続したけれど「土地はあるけどお金がない」「お金のかからない土地活用はある?」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
「お金がないなら銀行から借りればいい」と考える人もいるかもしれません。ですが、近年では金融庁による監視の強化や某銀行による不正融資問題発覚によりアパートローンが組みにくくなっています。
ここでは資金なしでもできる土地活用方法を紹介します。最後まで読めば自分の土地に合った土地活用方法が見つかるでしょう。
- 「定期借地」:土地を貸し地代を受け取る
- 「リースバック方式」:事業者にお金を借り建物のオーナーになる
- 「等価交換」:デベロッパーに建物を建ててもらう
- 「土地信託」:信託会社に土地を貸し収益の一部を得る
- 「買い替え」:条件の良い土地に買い替える
- 駐車場経営
- トランクルーム経営
- 看板の設置
- 貸し農園
どの土地活用を始めるかでお悩みの方は、以下の記事をご覧ください。
お金のかからない土地活用5つ【資金なし】
・土地を貸し地代を受け取る
・事業者にお金を借り建物のオーナーになる
・デベロッパーに建物を建ててもらう
・信託会社に土地を貸し収益の一部を得る
・条件の良い土地に買い替える
土地活用はお金がなくてもできます。ここでは資金ゼロでも始められる土地活用を5つ紹介します。それでは、ひとつずつ確認していきましょう。
土地を貸し地代を受け取る
土地を貸し出し、地代を受け取る土地活用方法を「定期借地」といいます。
また、定期借地権には、一般定期借地権・事業用定期借地権・建物譲渡特約付借地権の3つに区分されます。それぞれ契約期間や利用目的、契約終了後の対応が異なるため、自分の目的に合った借地権を選んで契約することが大切です。
以下の表は、借地権についてまとめたものとなっています。
借地権 | 契約期間 | 利用目的 | 契約方法 | 借地関係の終了 | 契約終了後の建物 | |
---|---|---|---|---|---|---|
定期借地権 | 一般定期借地権 | 50年以上 | 用途制限なし | 公正証書等の書面 | 契約満了による | 原則、更地にして返還 |
事業用定期借地権 | 10年以上50年未満 | 事業用建物のみ(居住用は不可) | 公正証書による設定契約 | 契約満了による | 原則、更地にして返還 | |
建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | 用途制限なし | 口頭でも可能 | 建物譲渡による | 地主が相当の対価を支払った後、譲渡される | |
普通借地権 | 30年以上 | 用途制限なし | 口頭でも可能 | 地主の正当事由による契約終了 | 買取請求権が行使されれば地主が買い取る |
そして、借地契約には、契約更新のある「普通借地権」と契約更新のない「定期借地権」があることを覚えておきましょう。
事業用定期借地で土地を企業に貸し出し、今は倉庫として利用されている。土地を貸しているだけなので管理の必要もなく、50年という長い契約期間安定した収入を得ることができることになった。
定期借地権を利用すれば、土地を貸し出すだけなので、建物の管理をする必要もなく、毎月安定した地代を得ることができます。
ですが、借地借家法のもとでは借主側に契約更新の権利も認めており、オーナーの意思による土地の返還は基本的に不可能です。一度定期借地すると土地はオーナーの自由にできなくなります。
事業者にお金を借り建物のオーナーになる
土地所有者が事業者と賃貸借契約を結び、事業者から貸し出された建築協力金で、所有する土地に大型店舗などを建築し、建物のオーナーになり入居する企業から店舗のテナント料を得ることを「リースバック方式」といいます。
大手企業と契約をむすび、建設協力金方式で資金を借り、ショッピングセンターを建設した。土地含め、ショッピングセンターを事業者に貸出し、毎月、建設協力金の返済額を差し引いた賃料の収入を得ている。
リースバック方式では、事業者から建築費用を借りて建築するため、初期費用を一切負担することがありません。アパートや商業用の建物は数千万円以上かかることが多いことからも、所有する土地に費用の負担をすることなく建物を建てることができます。この方式では毎月の賃料から建設協力金の返済額を差し引いた金額が月々の収入になります。
リースバック方式では、事業者が契約期間中に撤退してしまったときの処理が煩雑になります。基本的には、事業者が途中で撤退しても建設協力金の返済義務は残ります。また、途中撤退の場合、返済義務をなくすという契約もできますが、こうなると残りの金額が不動産所得として所得税が課税されます。
デベロッパーに建物を建ててもらう
デベロッパーに土地を譲渡(売却)して代わりに建物を建ててもらい、建物の価値に対する土地の価値の割合に応じて建物の所有権を得るという方法を「等価交換」といいます。等価交換を行うと、建物の価値に対する土地の価値の分だけ、建物や不動産を所有することになります。
土地の一部をデベロッパーに譲渡し、マンションの数部屋を取得した。取得したマンションは第三者に貸し出し家賃収入を得ている。
等価交換の場合は資金なしで収益性も節税効果も高い賃貸マンションとしての活用も可能です。収益性を求めるなら、テナント経営、賃貸住宅経営といった方法もあります。
信託会社に土地を貸し収益の一部を得る
所有する土地を信託会社や信託銀行に預け、活用してもらうことで、収益の一部を配当金として受け取るという方法を「土地信託」といいます。
土地信託には、土地が戻ってくる賃貸型と土地を手放す処分型の2パターンがあるため、自分に合った方法を選ぶ必要があります。
土地信託では、契約終了時、運用していた建物ごと委託者に返還されます。そのため、費用をかけることなくアパートやマンションなどの建物を取得することが可能です。
土地信託では信託受益権といった配当金を受け取る権利を、契約30年目に存命している人まで設定することができます。
土地を信託会社に貸し出し、企業は企健康ランドを建設し、運営している。一切経営にはかかわってはいないが土地信託で土地を貸しているので健康ランドの収益の一部を毎月受け取っている。
土地信託を始めて、思ったように利益が上げられないと配当金がゼロになってしまうこともあります。また、土地信託に向いている土地は、信託会社が収益を上げられると見込んだ土地のみになります。
条件の良い土地に買い替える
今持っている土地を条件の好い土地に買い替え土地活用を行うことも可能です。
土地を売却することで土地活用を始めるためのお金を準備することができ、新たな収益物件を買うための資金にすることができます。
土地は広いが駅から遠く、利便性にかけるので土地を売り、駅前の狭い土地に買い替えコインパーキングを始めた。
また、土地を売却して利益を得る場合は税金を納める必要がありますが、不動産を買い替える場合、条件を満たすことができれば課税を繰り延べすることも可能です。
最適な土地活用方法は土地の立地や広さ、周辺の需要によって変わります。土地活用を検討しているなら日本最大級の比較サイトイエウール土地活用で複数企業から土地活用プランを取り寄せましょう。将来の収益性の高い土地活用方法を見つけることができます。
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活用事例:サイパ足立区
エリア | 東京都 |
お金のかからない土地活用【少額投資】
多少資金は必要ですが、アパート経営などに比べると少額の資金で始められる、お金のかからない土地活用方法を紹介します。
駐車場経営
月極駐車場やコインパーキングは比較的少額の資金で始められます。コインパーキングの場合、舗装や機械などの設置にかかる初期費用がおよそ200万円~500万円ほどです。一括借り上げ方式だと経営をすべて業者に任せることになるので管理が容易になります。
月極駐車場の場合は機械の設置が必須ではなく初期費用やランニングコストがかからないため、契約者がいれば安定した利用料収入が得られます。
トランクルーム経営
また、コンテナハウスと呼ばれる建物を建築し、収納スペースとして利用者に貸し出すことで賃料を得るトランクルーム経営もおすすめです。コンテナを設置するだけで開業することが可能であるため、安ければ初期費用を200万円程度で抑えることが可能です。
看板の設置
看板を設置したい企業を募り、自分の土地で設置する代わりに掲載料を貰うという方法もあります。
多少の資金を用意できるのであれば自分で設置することも可能です。20万円もあれば自分で看板を設置することができます。また、お金をかけずに看板を設置する場合、定期借地として看板を設置するスペースを貸すことになります。
貸し農園
所有する土地が農地の場合は、貸し農園として経営をすることでお金のかからない土地活用になります。
複数の人に自分の畑を持ってもらうシェア畑や、野菜・果物作りの初心者向けの講習として利用される体験農園として活用するのが良いでしょう。
初期費用としては水道や柵の設置などのみで、管理にかかるコストも多くありません。高収益とはいきませんが、一定の収益を生むため長期的な利益を得られます。
目的別!お金のかからない土地活用方法と活用例
お金のかからない土地活用を知ったうえで、自分は何を重視して土地活用を始めたいか。目的別におすすめの土地活用方法と活用例を紹介します。
すぐに始めたい
すぐにでも、お金のかからない土地活用を始めたいと考えている人におすすめなのが、月極駐車場です。
立地が駅近ということもあり、駅前の月極駐車場が満車のため、少し価格を下げて募集を募ったところ、こちらに流れてくる客が増えた。整備から募集、契約までは2週間程度、翌月には駐車場経営で収入を得ることができた。
コインパーキングと違い、舗装や設備の設置が必須ではありません。最低限整地とロープで区画割りするだけで済むので、初期費用はもちろん、手間もかかりません。駐車場を探している人がいればすぐに契約が可能で貸し出すことができます。
収益性を重視したい
収益性を重視したお金のかからない土地活用を考えているのであれば等価交換や建設協力金方式、土地信託がおすすめです。商業施設やテナントとして貸し出す場合は賃料も高く、高い収益が期待できます。
新築で立地も十分だったのですぐに入居者が決まり、初期費用はほとんどかからずに、すぐに高い収益を得ることができた。
また、等価交換は土地の一部をデベロッパーに譲渡し、マンションの数部屋を取得することができマンション経営が可能です。通常であれば高い初期費用が発生するマンション経営も等価交換を上手に利用することで資金なしで始められます。マンション経営は税金対策にもなるのでおすすめです。
管理の手間をかけたくない
一括借り上げ方式のコインパーキングは、土地の管理を業者にすべて任せることができます。もちろん管理費がかかる分、収益も減ってしまいますが駐車場経営に関する知識がない人や自分で管理する手間を省きたいという人にはおすすめです。居住地と離れた場所に土地を持っている場合などに非常におすすめの土地活用方法です。
安定した収入を得たい
額は少なくても、定期的な収入が欲しい。安定性を重視したお金のかからない土地活用を考えている人は、定期借地権がおすすめです。
契約期間中は相当地代と呼ばれる地代を受領することができ、安定した収入を得ることができます。
税金を減らしたい
初期費用をローンで調達した場合、マイナス資産ができ相続財産を減らすことができるため、結果相続税対策にはなりますがローンを組むには多少の資金が必要になります。
また、土地をそのまま貸す場合、住宅用地の特例措置の対象とはならないため、固定資産税を減らすことも難しいです。
ですが、定期借地や建設協力金方式で建てた建物が賃貸アパートや賃貸マンションだった場合、住宅用地の特例が適用され、固定資産税は更地の6分の1に、都市計画税は3分の1になります
立地条件が悪い土地を活用する方法
資金なしで土地活用を行う場合は、集客が見込まれる立地や条件が良い土地に限られます。上記のようなお金のかからない土地活用は利益を生むことを見込んだ土地でないと企業側は契約にに応じてくれません。
なので、まったく資金なしでの土地活用は難しいですが、少額投資でなら立地条件の悪い土地を活用する方法があります。ここでは立地条件が悪い土地でもできる土地活用方法を紹介します。
貸し農園
集客が見込まれない土地であれば貸し農園がおすすめです。むしろ、人がいない農村部のほうが需要があります。そういった場所では、すでに自分の農地を持っているけれど「近い場所にもう一つ農地が欲しい」「自分の農地は狭いので隣の農地も欲しい」といった一定の需要があります。農園であれば簡単な整備で済むのでほんの少しの資金で始めることができます。
トランクルーム経営
トランクルームは比較的、土地の立地が悪くても活用できる活用法の一つです。とはいえ、都心からアクセスのいい場所のほうが集客は見込めます。立地が悪い場所でトランクルーム経営を考えるのであれば、賃料を安くしたり、大きめなサイズのトランクルームを複数置いたりするなどちょっとした工夫で収益を得ることができるでしょう。
駐車場経営
立地は多少重要になりますが、駐車場経営は建物を建てるのが難しい変形地などでも活用できる土地活用方法です。月極駐車場であれば簡単な舗装工事のみで始めることができるので、少ない資金で済みます。
お金のかからない土地活用を検討しよう
お金がかからない土地活用の始め方について解説しました。たとえお金がない場合でも、工夫次第では有効な土地活用を行うことは十分可能です。しかし、土地活用を始めることができたからといって、必ずしも経営が成功するとは限りません。
専門家の知恵を借りながら自分でも土地活用に関する情報を収集し、実践していくことが大切なポイントになるでしょう。
土地は、ただ保有しているだけでは管理費や固定資産税など様々な維持費が発生します。今回の記事を参考に、土地の特性に応じた適切な土地活用に取り組んでみてはいかがでしょうか。
記事のおさらい