自宅を使った収益化の方法に、家を貸すという方法があります。自宅を貸す賃貸経営では、入居者が入ると設定した家賃に応じて、毎月収入が得られます。
賃貸経営は新たに賃貸用の住宅を建てるだけではなく、自宅を利用することも可能ですが、このとき問題になるものが住宅ローンです。住宅ローンを返済している最中でも家を貸すことは可能なのか、賃貸経営開始のリスクや注意点などを解説します。
戸建賃貸経営を検討している方はこちらの記事もおすすめです。
ローン返済中に家を貸すには
ローンにはさまざまな種類があり、家に関するローンは住宅ローンだけではありません。利用しているローンの種類によって、家を貸すことが可能かどうかは異なります。
基本的に住宅ローンは使えない
住宅ローンを利用している間は基本的に家を貸し出すことはできません。住宅ローンは契約者が住むことを前提とした契約です。
そのため、契約者以外が住むことになる賃貸経営では、住宅ローンは利用条件を満たせません。
契約違反になる
住宅ローン返済中の家の賃貸は契約違反です。契約者とは別の人が入居者になるとその時点で契約違反となり、違約金が発生したり、ローン残債の一括返済を求められたりするため注意が必要です。
ローンの切り替えが必要
住宅ローン返済中の家を貸したい場合は、賃貸経営でも利用可能な賃貸用ローンへの切り替えが必要です。
契約者が住むことを条件にした住宅ローンのままでは家を貸すことはできないため、現在住宅ローン契約中の家を賃貸に使うなら、事業用の賃貸ローンに切り替えましょう。
賃貸併用住宅にする
賃貸住宅は家の全部を貸し出すだけではなく、一部を賃貸にし残りの部分で所有者が暮らすことも可能です。このように自宅と賃貸を両立させた物件を賃貸併用住宅といいます。
賃貸併用住宅は、自宅部分が床面積の50%以上という決まりがありますが、自宅部分についてはこれまで通りに住宅ローンが利用可能です。残りの賃貸部分には住宅ローンが適用できないため、借り入れが必要なら別途賃貸用ローンを組みます。
住宅ローンと事業用ローンを併用する場合は、ダブルローンになってしまい返済が苦しくなりやすいです。そのため、併用する際には完済できるかも考え、いくら借りるか慎重に決めましょう。
金融機関に相談する
ローン返済中に家を貸したいと考えているなら、まず金融機関に相談しましょう。金融機関に相談せずに家を貸してしまうと、住宅ローンの契約違反になってしまう可能性が高いです。
また、相談することでどのようなローンを組むとよいのかも教えてもらえます。賃貸経営に適したローンを見つけるためにも、金融機関に相談してから賃貸経営を始めましょう。
特別な事情がある場合
住宅ローンは基本的には契約者以外が住むことはできません。しかし転勤や介護などの特別な事情がある場合は、契約者以外が住む場合でも住宅ローンを継続できる可能性があります。
住宅ローンを継続して利用できるかどうかは事情によって異なります。
住宅金融支援機構の住宅ローン
住宅の管理者を選定して、自分が住まない期間を3年以内とする場合は住宅金融支援機構の住宅ローンの利用がおすすめです。
住宅金融支援機構の住宅ローンでも、賃貸経営する場合基本的には事業用ローンへの切り替えが必要です。しかし、上記の条件を満たす場合は、賃貸経営でも住宅ローンを利用できます。
フラット35を利用している場合は住所変更だけで賃貸可能
フラット35の住宅ローンを利用しているなら、住所変更届を出すだけで、持ち家での賃貸が可能です。最初から賃貸利用する目的でフラット35を組むことはできないため、この点には注意しましょう。
居住目的でフラット35を利用し、その後賃貸利用をすることは可能です。
「今持っている不動産を現金化したい」という方は、売却という形で手放すという選択肢もあります。一括査定サイト「イエウール」を使えば、無料で最大6社から査定を受けられるので高く売ってくれそうな会社が分かります。
賃貸用のローンへ切り換える主なリスク
住宅ローンは契約者が住むことを前提とした契約であるため、賃貸経営をするなら基本的には賃貸用ローンに切り替えなければなりません。
賃貸用ローンに切り替えることで、ローンを利用しながら賃貸経営が可能となりますが、これにはいくつかのリスクがあります。
金利が上がってしまう
手数料がかかる
賃貸用ローンを利用するなら、上記2つのリスクは頭に入れておきましょう。
金利が上がってしまう
住宅ローンと賃貸用ローンを比較すると、賃貸用ローンのほうが金利は高いです。賃貸経営を始めるにあたって、住宅ローンから賃貸用ローンに借り換えると、金利が高くなって返済総額が増えてしまいます。
ローンの切り替えで賃貸経営に必要な資金の捻出はしやすくなるものの、一方で返済の負担が増えてしまうことはリスクの1つです。
手数料がかかる
ローンを切り替える際には手数料がかかり、同じローンを利用し続けるよりもコストがかかります。ローン切り替え時にかかる主な費用としては、次のものがあげられます。
印紙税
事務手数料
ローンの契約金額に応じて変動する費用であり、契約書に貼り付ける収入印紙の費用です。契約金額によって印紙税は変動します。契約金額が高くなるほど、印紙税も高額になります。
ローンを借りる際には事務手数料がかかり、借り換えの場合も同じです。事務手数料は金融機関によって異なります。借り入れ金額の数パーセントとすることもあれば、一律で数万円と決まっていることもあります。
実際にいくらかかるかは金融機関に確認しましょう。同じ借り入れ額でも金融機関によって事務手数料が異なることもあるため、複数社で比較してから選ぶことがおすすめです。
ローン返済中に家を貸す場合の注意点
ローンの返済中でも家を貸すことはできますが、この際にはいくつか注意点があります。
住宅ローン控除が適用されない
計画性をもって契約方法を決める
管理はプロに任せる
住宅ローン控除が適用されない
金融機関に相談することで、住宅ローンを利用しながら持ち家を貸せる場合があります。しかし、ローン返済中は持ち家を貸すことはできても、賃貸の用途で使用する場合は住宅ローン控除が適用されません。
住宅ローン控除によって節税ができなくなってしまうため、税負担が増えて出費が増大することもあります。税金が上がった分をカバーして収益が見込めるなら問題はありませんが、収益性が低く、税負担のほうが大きいと損をしてしまう可能性があります。
賃貸の用途で使用している間は住宅ローン控除は受けられませんが、入居者が退去して条件を満たす場合は、再度住宅ローン控除が適用できます。節税によって得られるメリットと賃貸経営での収益をよく比較することが大切です。
計画性をもって契約方法を決める
賃貸経営をするなら、計画性をもって契約方法を決めることが大切です。契約方法によって、いつまで家を貸すのかや、賃貸期間の制限が異なります。契約方法は次の2つです。
期間限定の定期借家契約
更新制度がある普通借家契約
それぞれの特徴の違いを知り、自分の場合はどちらの契約方法が適しているかを考えておきましょう。
期間限定の定期借家契約
契約期間を契約時点で定め、更新なしで貸し出せることが定期借家契約の特徴です。現時点では誰かに貸したいと思っていても、将来またその家に住みたいと考えているなら定期借家契約がおすすめです。定期借家契約なら契約終了で退去してもらうことができ、その後自分で住むことができます。また、契約期間が終了した後も、双方の合意によって再度契約を結び直し、入居期間を更新することも可能です。
そのため、一定期間で戻るはずが、仕事の都合などで戻れなくなってしまった場合は、契約を結び直すことで賃貸期間の延長もできます。ただし、契約期間が限られているため、入居者がなかなか見つからないことも多いです。
入居者を獲得するには契約期間をできるだけ長くしたり、家賃を周辺相場よりも下げたりするなどの工夫が必要になるかもしれません。
更新制度がある普通借家契約
入居者の意思によって契約期間を更新できることが、普通借家契約の特徴です。契約期間は2年程度で定められることが多く、契約期間終了のタイミングで更新します。入居者が希望する限り更新し続けることが可能であり、所有者の都合で退去してもらうことはできません。そのため、家に戻る期間が明確でない場合や、完全に賃貸用として使用したい場合は、更新制度のある普通借家契約がおすすめです。
普通借家契約では入居者が契約違反を行うなど、契約解除に相当する理由がなければ貸主からの契約解除はできません。入居者の都合次第では、半永久的に入居し続けるケースもあるため、一定期間だけ限定で貸したいという人には不向きな契約方法です。
管理はプロに任せる
賃貸経営をする際には、貸し出した物件の管理が必要です。物件管理は自分で行うこともできますが、手間がかかり自分で行うとなると多大な労力を必要とするため、プロに任せるのも1つの手です。自分で管理すると管理手数料は不要であり、その分のコストは浮かせられます。しかし、手数料を支払うことでスムーズに解決できる問題も多いため、手間をかけず安全に賃貸経営をしたいなら、管理会社に管理を委託したほうがよいでしょう。
管理業務は多岐にわたる
賃貸物件の管理業務は多岐にわたり、全てを自分ひとりで管理することは難しいです。管理業務として必要なことには、入居者の募集や入居者のトラブル対応などがあげられます。
立地のよい物件でも、手広く広告を出して入居者を募集しないと、借主が見つけられないことも多いです。空室の期間中は家賃収入がないだけではなく、その間もランニングコストはかかり続けるため損失が出てしまいます。
管理会社に委託することで、入居者の募集もスムーズに行うことができ、空室リスクを下げられる点がメリットです。また、入居者同士でトラブルが起きたり、入居者と近隣住民で揉めた場合なども、貸主が対応しなければなりません。
人間関係のトラブルを解消するには労力がかかりますが、管理をプロに委託することでこの問題も解消できます。物件管理から人間関係の問題の解決など、賃貸経営における手間を解消するには、知識や経験が豊富な管理会社に任せたほうがよいでしょう。
管理会社は比較検討して決める
どの管理会社に管理を委託するかは、複数社で比較して決めることが大切です。最初の1社で決めてしまうと、管理手数料が相場よりも高かったり、管理能力が低く入居者に不満が出たりする可能性もあります。
管理会社を選ぶ際には、実際に賃貸物件を管理した数や実績、手数料など複数の項目で比較しましょう。最低3社を目安に比較することで、どの管理会社がもっとも条件がよいかを判断しやすくなります。
自分に合った管理会社を見つけるには、イエウール土地活用がおすすめです。イエウール土地活用は日本でも有数の賃貸経営比較サイトであり、効率的に管理会社を探すことができます。
複数の管理会社から一括で資料請求ができるだけではなく、賃貸経営に関する不安や悩みを解決できる情報も確認できます。スムーズに賃貸経営を行うためにも、イエウール土地活用を利用して管理会社の選定や情報収集を行いましょう。
\建築費は?初期費用は?/
資金計画は余裕を持ってしっかり立てよう
ローン返済中でも、事業用ローンに切り替えることで家を貸すことは可能です。また、特殊な事情を考慮される場合は、金融機関に相談して許可をもらうことで、住宅ローンを利用しながら家を貸すこともできます。賃貸経営を成功させるには、念入りに資金計画を立てることが大切です。収支のバランスを考え、事業用ローンの借り換えによって出費が多くなりすぎないかは必ず確認しておきましょう。
記事のおさらい