「太陽光発電による土地活用ってどうなの?」、「もしかしたら太陽光発電によって今ある土地を収益化できるかも…?」
太陽光発電による土地活用には、このようなお悩みや期待を抱かれる方も多いかと思います。そこで本記事では、太陽光発電によって土地を活用する仕組みや経営方式、メリットやデメリットなどについて詳しく解説します。
- 太陽光パネルによって生み出した電力を電力会社に売却することで収益を得る
- 固定価格買取制度によって数十年にわたり一定の買い取り額が保証される
- 自営方式と土地貸し方式の二つの経営方式がある
- 「様々な土地を有効活用できる」「維持管理コストが比較的少ない」といったメリットがある
- 一方で「費用の回収に時間がかかる」「天候によって収益が左右される」といったデメリットがある
- 日当たりの良い場所、近くに送電設備のある場所が向いている
太陽光発電による収益化の仕組み
太陽光発電経営は、太陽光パネルを土地に設置し、生み出した電力を電力会社に売却することで収益を得る土地の活用方法です。
経営方法は、土地に太陽光パネルを建て売電収入がそのまま収益となる自営方式と、土地を事業者に貸しその賃料によって収益を上げる土地貸し方式の2種類があります。
太陽光発電には固定価格買取制度(FIT制度)があり、この制度によって長期にわたり安定した収益を得ることができます。ここでは、太陽光発電によりどのように土地活用として収益を得ていくのかを解説します。
発電分を電力会社へ送電する
先にご紹介した通り、太陽光発電は太陽光パネルによって得られた電力を電力会社に売ることで収益化を行う土地活用です。具体的には、太陽光発電システムを設置し、近くの送電線からケーブルを通して電力会社へ売却します。そのため、近くに送電線がない場合は新たに設置する必要があります。
設置が終われば、あとは土地オーナーと電力会社間で送電チェック行い、問題がなければ経営が開始されます。
この送電チェックについても、太陽光発電事業者が取り持ってくれます。
そして、太陽光発電による土地活用の特徴は固定価格買取制度があることです。この制度によって、数十年にわたって一定の買い取り額が保証されます。
固定価格買取制度について、次項で詳しく確認します。
固定価格買取制度とは
冒頭でご紹介した通り、太陽光発電には固定価格買取制度があります。この制度は、簡単に言えば10年もしくは20年にわたって一定価格で電力を買い取ってもらえるという制度です。
太陽光発電経営における収益化の仕組みは、電力会社に発電した分の電力を売ることによる収入であり、この仕組み上あらかじめ定められた料金を基に買取保証があることは非常に強力なメリットです。
人が少ない田舎の土地であれば、毎月の収益が安定するのは非常に魅力的といえます
ただし、固定価格買取は10kw以上の発電力を備えているか否かによって固定価格になる期間に定めがあります。10kwh未満であれば10年、10kw以上であれば20年の間は固定価格で買い取ってもらうことが可能です。
太陽光発電による土地活用であれば、他の土地活用には向かない条件の土地でも収益を安定して確保することができます。
ただし、固定価格は年々下がっており、2020年から2021年では2円ほど値下がりしました。この傾向は今後も続くと考えられます。同時に設置コストも下がっていますので利回りが極端に悪化するといったことはありませんが、固定価格は1年ごとに更新されますのでなるべく早い段階で経営をスタートさせるとメリットが大きいでしょう。
参考:経済産業省「固定価格買取制度」
太陽光発電の経営方式
ここでは、土地活用における太陽光発電経営の2つの経営方式について詳しく解説します。
自営方式
自営方式は、太陽光発電経営に関わる全ての費用をオーナーが負担する運営方式です。
太陽光発電は、他の土地活用と比べて低コストというメリットもありますが、それでも数千万円ほどの費用がかかるケースもあります。
その代わり、売電収入は全て土地オーナーのものになるので、収益性の観点からは土地貸し方式よりも適しています。
そのため、自営方式では、ローンの借り入れができる状態であったり自己資金に余裕がある状況、また「収益性を高くしたい」とお考えの方にピッタリの経営方式でしょう。
土地貸し方式
土地貸し方式は、土地を太陽光発電事業者に貸し、その地代が収益となる運営方式です。
自営方式と比べて収益性に劣りますが、太陽光発電にかかる設備は全て事業者が負担するため、基本的には土地オーナーがコストを支払うことはありません。
そのため、「余った土地で少しでも収益化を狙いたい」、「土地活用はしたいがとにかくお金をかけたくない」とお悩みの方には、土地貸し方式はピッタリの運営方式となります。
しかし、土地貸し方式では事業者による土地利用が主導となるため、土地オーナーの意向を踏まえた経営は行うことができません。
また、土地を使いたくなったとしても契約満了までは土地を使うことはできないため注意が必要です。
太陽光発電を行う専門事業者は、ハウスメーカー等に比べ相談窓口が少ない点がネックですが、土地活用比較サイトを利用することによって簡単に相談を行うことが可能です。土地活用比較サイトは、一度の情報入力で複数の土地活用会社からのプランをみることができます
特に、優良な土地活用会社のみと提携しているイエウール土地活用では日本でも最大級の土地活用比較サイトです。近くに土地活用に関して相談できる環境でない方でも、お手持ちのスマートフォンやパソコンから10分程度で土地活用プランを比較することができます。
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土地活用として太陽光発電を始めるメリット
土地活用方法として太陽光発電を選択することのメリットを4つご紹介します。
- 安定した収益化が可能
- 様々な土地を有効活用できる
- 他の土地活用に比べ維持管理コストがかからない
- 利用者を集める必要がない
安定した収益化が可能
太陽光発電は、太陽光さえあれば収益を得ることができます。
そのため、コストパフォーマンスの高い土地活用方法といえるでしょう。
加えて、固定価格買取制度によって10年~20年の間は必ず毎月一定の収益を確保することができるのでリスクを背負わずに土地活用を行うことができます。この特徴は、田舎における土地活用ではかなり大きなメリットといえます。
様々な土地を有効活用できる
例えば、原則として建物を建てることが禁止されている市街化調整区域内にある土地の場合、アパート経営などの住宅経営を行うことは難しいです。
一方、太陽光発電であればこのような制限に抵触することはありません。
また、郊外や田舎にある土地など人通りが多くない地域においても、利用者を必要としない太陽光発電であれば有効な土地活用となります。
加えて、これらの地域でおススメされる土地活用のなかでも、確実な収益化という面で一歩群を抜いているといえます。
太陽光発電用地について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
他の土地活用に比べ維持管理コストがかからない
太陽光発電は、太陽光パネルや送電設備があれば経営ができます。
そのため、経営開始後の維持管理においては基本的に設備点検にかかる費用のみに抑えることができる点がメリットです。
土地貸し方式の場合は、維持管理も事業者が行ってくれるため土地オーナーがやらなければならないことはほぼありません。
この点、費用に限らず経営にかかる時間も節約することができるので普段忙しい方でも行いやすい土地活用方法といえます。
利用者を集める必要がない
特に人通りのあまり見込めない田舎などにある土地の場合、利用者を集めるために奔走する必要がないことは大きなアドバンテージとなるでしょう。
利用者について考える必要がないことは、空室リスクについて頭を悩ませることもないでしょう。。
設備さえ整えば経営可能、かつ安定した収益を確保することのできる太陽光発電はとても魅力的です。
そのため、太陽光発電と他の土地活用と同時並行で検討されている方は、それぞれの活用法に関してしっかりと情報収集をした上で活用法を決めるとよいでしょう。
田舎の土地活用について知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
土地活用として太陽光発電を始めるデメリット
土地活用方法として太陽光発電を選択することのメリットを5つご紹介します。
太陽光発電を行うメリットと同時にデメリットも把握しておくことで、自分にあった土地の活用方法なのか判断する際の参考になります。
- 費用の回収に時間がかかる
- 収益は天候に左右される
- 売電価格が下がっている
- 節税にならない
- クレームや災害トラブルがある
回収に時間がかかる
太陽光発電を始めるためには、土地の整地からパネルの設置、送電設備の設置など多くの費用がかかります。その費用は、規模にもよりますが1,000万円から2,000万円になる場合もあります。
安定した収入を得られる一方、それほど大きな収入ではないため、初期費用を回収するのに10年から15年程度かかることが多いようです。
また、収入は天候に左右されるため、悪天候が続けばさらに長い期間がかかることになります。
天候が発電量に影響する
経営を始めたときには、発電に最適な場所であっても、数年経つと周辺に建物が建つ場合もあります。建物で太陽光が遮られると発電量が下がり、発電量が下がると収入が減ります。
このように、土地の周辺環境が変わると収入に影響する場合もあります。
また、天気が悪い日が続くと発電が行えず、収入が減ります。晴れの日を100%とすると、曇りの日は40%から60%、雨だと5%ほどになる場合もあります。
このように天気によっても発電量が変わり、収入に影響します。
売電価格の変動
10kW以上の産業用のものだと契約期間は20年と設定されていて、その契約期間の間は契約した買取価格で買い取ってもらえますので、安定した収入が得られます。
この買取価格は、2012年のときは40円/kWhだったのが2020年には13円/kWhまで下がっています。このように売電価格は、毎年下がり続けています。
同じく設備の導入費用も下がっており、現在では、1kWあたりのパネル代は、20万円から30万円程度です。
このように売電価格は下がり続けているため、今後、始めるのであれば時期が早いほど売電価格は高いと考えられます。
また契約終了後には固定買取が終わりますので、新たに買い取ってもらえる業者を探す必要があります。しかし、制度利用時のように高い価格ではなく、7円から10円程度の業者が多いようです。
このため制度利用後は、更に低い価格での売電となる可能性が高いデメリットがあります。
節税にならない
土地活用で固定資産税や相続税などの節税を行うには、土地の上に居住用の建物が建っている必要があります。例えば、アパート経営やマンション経営などの賃貸住宅経営では節税ができます。
賃貸住宅経営の場合、固定資産税は1/6、都市計画税であれば1/3の節税効果が見込めます。これは、住宅用地の特例によるものです。相続税であれば、土地の相続税評価額は20%軽減させることが可能です。これは、その土地が貸家建付地となるためです。
このように、建物を建てない太陽光発電では節税効果は期待できません。節税目的として土地活用を行うのであれば、アパート経営などの賃貸住宅経営などが望ましいです。
クレームや災害リスクがある
パネルに太陽光を当てて発電するため、その光が反射します。そして、近くに住宅がある場合には、反射光が当たりクレームがくる場合があります。
反射光は防ぐことが難しいため、太陽光発電をおこなうときには周辺に住宅がないところを選んだり、反射光が住居に当たらないようにしたりするなどの対策が必要です。
また、自然災害によってパネルが破損するリスクがあります。自然災害を予測することは難しいため、事前に保険に加入するなどの対策も必要でしょう。
火災保険や地震保険に加入していると、パネルが破損したときのために備えられます。
太陽光発電にも、さまざまなデメリットがあることから、どんな土地でも始められるというわけではありません。そのため、所有する土地が太陽光発電に向いているのか、それとも別の土地活用方法が良いのかをしっかりと確認しておくことが大切です。
イエウール土地活用なら、複数のプランを比較して自分の土地にぴったりな土地活用方法を見つけることができます。
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太陽光発電で土地活用するのに最適な土地とは
太陽光発電を土地活用の候補として考えている方のなかには、「持っている土地ははたして太陽光発電を行うのに最適な土地なのだろうか」といった悩みがある方もいるかと思います。
ここでは、太陽光発電経営を土地活用として行う野に最適な土地と、向いていない土地について詳しくご紹介します。
太陽光発電経営に向いている土地
太陽光発電における適した土地の条件はいくつかありますが、ここでは以下の4つをご紹介したいと思います。
- 日当たりが良く日照時間が長い土地
- 近くに送電設備のある土地
- 付近に建物がない土地
- 災害リスクの少ない環境にある土地
太陽光発電は、太陽光パネルの量や日照時間に比例します。そのため、特に土地の広さや日が陰らない地域、晴天率が高い地域などに適している土地活用方法といいます。
日当たりが良く日照時間が長い
太陽光発電において最も重要なことは、日当たりがよく日照時間がどのくらい確保できるのかということです。
そのため、1日のうち日陰になる時間が少なく1年を通して、晴天である割合が多い地域であれば太陽光発電にはうってつけでしょう。
また、今後の開発によっては日光を遮る可能性のある建物の建設予定がある可能性もあります。
太陽光発電経営を安定して行っていくために、事前に周辺環境の動きには気を配る必要があるでしょう。
近くに送電線設備がある
太陽光発電を行い、さらに電気を買い取ってもらうには送電設備が必要です。
近くに電柱がある場合は、そのまま太陽光発電の送電にも利用可能です。
そのため、特段追加でコストがかかることはありません。
付近に太陽光を遮るものがない
太陽光を遮るものがない環境であれば、発電効率が上がります。
そのため、ビルや高速道路、木など周囲に日光を遮るものがないかを確認しておく必要があります。
また、地域や地形によっては日照が極端に短い場合もありますので、所有している土地の環境を事前に調べておくことをおススメします。
災害リスクの少ない環境
太陽光パネルは、常に屋外に設置するためその耐久性やリスクが周辺環境に大きく左右されます。
そのため、洪水や土砂崩れなどの発生リスクがどの程度あるのかを把握しておくことをおススメします。
予想される災害やその被害は、各市町村が作成しているハザードマップで確認できます。
また、災害リスクの確認に加えて地盤の固さも調査しておきましょう。
地盤が緩いと、災害リスクの危険性が高まります。
加えて、地盤の固さによっては太陽光パネルの設置にともない整地費用がかかる場合もあります。
逆に基礎工事のコストを抑えられる可能性もありますので、土地の状態を把握する意味でも一度チェックしておくことをおススメします。
太陽光発電経営に向いていない土地
太陽光発電に向いていない土地には、以下のような特徴があります。
- 60坪以下の土地
- 日が当たる時間が短い土地
- 周囲に住宅が多くある土地
60坪以下の土地
太陽光発電経営では、10kw以上の産業用太陽光発電設備を設置することになります。そのため、十分な収益を得るためには最低でも60坪以上の広さが必要があることに注意が必要です。
土地を事業者に貸す土地貸す方式での経営は、高利回りを狙える100坪以上の広さのある土地が望ましいです。
日が当たる時間が短い土地
太陽光発電経営の命は、太陽光です。そのため、日照時間の少ない地域や1日を通して太陽光パネルが陰る時間が多い土地では、十分な収益が得られない可能性があります。
この点、例えば全国的ににも日照時間が比較的少ない秋田県や鳥取県では、その他の地域に比べ太陽光発電経営では不利となります。
周囲に住宅が多くある土地
太陽光発電経営による苦情の一つに、周囲の住宅への反射光の問題があげられます。
特に、住宅街やアパートなどの建物が多くある場所では、太陽光パネルによる反射から近隣トラブルに発展する可能性があります。
最悪の場合、太陽光発電経営そのものを中止せざるを得ない状況になる可能性があるため注意が必要です。
土地活用で太陽光発電を考えるときのポイント
ここでは、少しでも太陽光発電に興味がある方が知っておきたいポイントについてご紹介します。
土地の状態を確認
太陽光発電に適した土地は、広くて日当たりが良い土地です。収益は発電量に比例するため、太陽光パネルを多く設置できるほど有利といえます。
また、太陽光が一日を通してよくあたる立地や日照時間が比較的長い地域であれば理想的です。このような特徴をもつ遊休地の活用方法としても、太陽光発電は人気です。
このような特徴を持たない立地では、初めても投資回収を行うために長い期間がかかる恐れがあります。発電設備等の点検や修理など維持管理費も考えれば、想像するよりも収益が出ない可能性がある点には注意しておきましょう。
出力規制がある
出力抑制とは、発電地点の電圧が高くなった際に自動的に出力が抑制されることです。つまり、発電分を余すことなく電力会社へ売却できなくなります。この規制は、電気技術法によるものです。
例えば、周辺で太陽光発電経営をしている土地が多いときなどは、そのエリア内での電圧が規定量を超えてしまい効率的に売電ができなくなってしまうケースがあります。
土地活用で太陽光発電経営を検討するときは、周辺で太陽光発電経営を行っている土地の有無や、契約する事業者に出力抑制リスクについて確認しておくとよいでしょう。
土地活用として太陽光発電を行うなら早めに相談を!
太陽光発電経営は、固定価格買取制度によって安定した収益を得られる点が最大のメリットです。
しかし、固定価格買取制度による売電価格は年々下がり続けているため、始めるのであれば早めに動き出す必要があります。
太陽光発電経営を土地活用として行う際は、メリットやデメリットだけでなく、売電価格についても考慮しながら検討する必要があるでしょう。