マンション経営を始めたい人の中には、以下のような悩みや疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
- マンション経営が赤字になるのはなぜ?
- マンション経営を赤字にしない方法は?
この記事では、マンション経営が赤字になる要因と対策について解説します。
また、赤字なってしまった事例を知り、その事例から赤字にしないための対策も一緒に考えていきましょう。
マンション経営が赤字になる理由
マンション経営が赤字になる理由は以下の4つです。
- 甘い収益シミュレーション
- 空室の増加
- 家賃の下落
- 売却のタイミング
甘い収益シミュレーション
マンションを購入・建築する際、甘い収益シミュレーションを行ってしまうとマンション経営が赤字になる可能性が高まります。
特に初心者の方は、想定利回り(空室0の年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100%)や表面利回り(年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100%)を参考に収益シミュレーションを行っている人も多いでしょう。
しかし、マンション経営では、管理費や修繕積立金、固定資産税など、さまざまなランニングコストがかかります。
また、急な修繕やリフォームによって、高額な費用を負担しなければならないこともあります。
甘い収益シミュレーションで経営を始めると、突然赤字になってしまうこともあり得ることから、必要経費や急な修繕を想定した収支シミュレーションを行うことが重要といえます。
空室の増加
マンション経営において、赤字につながる一番の要因は空室の増加です。
マンションを一棟まるごと経営する場合には、ある程度空室が発生しても赤字になる可能性は低いでしょう。
しかし、マンション1部屋だけを経営する場合には、入居者が決まらなければその月の家賃収入はゼロになります。
このように、マンション経営では空室があるほど収入も減ってしまうため、できるだけ空室を発生させない対策を行うことが重要といえます。
また、一棟マンション経営でも、空室が多いと収益が大幅に減ってしまい赤字になってしまうことに注意が必要です。
家賃の下落
マンション経営では、家賃が下落し、収入が減少したことで赤字になってしまうこともあります。
マンションの築年数が古くなり、空室も増え、入居者が見込めなくなると家賃の値下げは避けられません。
仮に、1部屋につき5,000円程度の値下げを行ったとしても年間で6万円のマイナスになります。
経費やローン返済額が変わらない中で、家賃収入が減少してしまうとは赤字になる可能性も高くなります。
さらに、売却をするときに家賃設定が低いと、売却価格が大幅に下がってしまうこともあります。
そのため、こまめに修繕を行ったり、早めに売却してしまうような対策が重要といえます。
売却のタイミング
マンション経営が赤字続きでも、最終的にマンションを売却し利益を出せれば良いと考えている人も多いのではないでしょうか。
確かに、出口戦略としてマンションの売却があります。マンションが高い価格で売却できれば良いですが、一般的なマンションは購入時に比べて売却価格が大幅に下がります。
マンション経営には、インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)という考え方があり、インカムゲインとキャピタルゲインの合計が黒字であることが重要といわれています。
もし、キャピタルゲインが少額の黒字で、インカムゲインが赤字続きだと、トータルの収支がマイナスになってしまいます。
そのため、マンションの売却はトータルの収支がプラスになるようなタイミングで売却するようにしましょう。
マンション経営が赤字になった8つの事例
ここでは、マンション経営が赤字になってしまった事例を8つ紹介します。
思った以上に支出が多く赤字続き
新築で購入しても10年を目安に壁や床の劣化による修繕、設備の故障による取り換えが必要になってきます。修繕費等はオーナーの負担で、大規模な修繕が必要な場合は1度に数千万円ほどの大金が出ていくこともあります。
マンション経営をしていく中で、修繕等による出費は避けられません。修繕費はオーナーにとって悩ましいものですが、もしもの場合に備えて毎月の利益から5000円~1万円ほど積み立てしておくと負担を軽くできます。
地域ニーズとミスマッチして赤字経営
地域に合った間取りと家賃相場を設定しないと入居者が見つかりません。学生街は賃貸需要が高いですが、間取りや家賃価格を誤ると入居者が見つからず赤字になってしまいます。
地域ニーズとミスマッチを起こしてしまわないためにもその地域の市場調査は重要です。
地域ニーズとのミスマッチを防ぐためにも、まったく馴染みのない土地でマンション経営を始めるのではなく、一度暮らしたことのある土地や自身の地元、土地勘のある地域でのマンション経営をおすすめします。
赤字続きでローンの返済が見込めない
しかし、退職してからは家賃収入以外の収入がなく、赤字が続きローンの返済すらできなくなってしまった」
ローンの返済は何十年と続きます。ローンの返済を家賃収入で賄えたらいいですが、赤字続きだとローンの返済すらできなくなり最終的には自己破産に至ってしまうでしょう。
ローンと言うと聞こえがいいですが要は借金です。借りたお金には利息が付きます。借りた額が多ければ多いほど利息額は増え、ローン返済期間も長くなります。
何十年もローンを返済できる保証がないという人は初期投資の自己負額を増やし、なるべく金融期間から受ける融資額を減らすことも対策の一つです。
不十分な理解でサブリース契約をして赤字に
マンションの空室に関係なく、一定金額の家賃収入を保証してくれるサブリースですが、空室期間が続くと家賃の値下げは避けられません。家賃が下がると保証金額も下がります。
「〇〇年間の長期一括借り上げ」と掲げているサブリース会社は多いですが、実際は数年ごとに保証賃料の見直しがされます。空室が目立ち始めると、契約内容が見直され家賃の値下げは避けられません。主な収入源である家賃が値下げされると、赤字になる確立が高まるでしょう。
管理会社が原因で次の入居者が見つからず、空室が続いて赤字に
退去後、なかなか次の入居者が見つからない場合は管理会社が入居者募集の業務を怠っている場合があります。
また、管理会社によっては客付けの得意、不得意に差があります。管理会社を選ぶ際は安易に決めるのではなくネットでの評判や口コミを参考にし、客付きに強い仲介会社を選ぶようにしましょう。
入居者の家賃滞納で収入が激減
Fさんの家賃収入は激減し、さらには滞納の件で入居者とトラブルになってしまった。」
入居者とオーナーとの間でよくあるトラブルの例が家賃滞納です。家賃保証会社を付けている場合は保証会社が入居者の代わりに家賃を支払ってくれますが、区分マンションを知人や身内に貸す場合はわざわざ保証会社をつけていないことがほとんどです。
個人間での貸し借りは家賃滞納などのトラブルに巻き込まれることが多いです。知人や身内に貸す場合でも管理会社や保証会社を付けることをおすすめします。
想定外の出費が増えて赤字に
区分マンションは一つのマンション内に多くの所有者が存在するため、一棟マンション経営と違い「修繕費」「清掃費」などマンションの共用部分に関する意思決定は管理組合の決議により行われます。
自分ひとりで意思決定できる範囲が少なく、修繕費の積み立て金など想定外の出費が発生することがあります。
新築区分マンションを購入するも利回りが低すぎた
新築区分マンションは人気があり空室リスクは低いですが、割高な物件が多く利回りが悪い傾向にあります。一般的に利回りが5%以上あると有益物件だと言われています。手元に残るキャッシュフローがマイナスになると、深刻な赤字になってしまいます。
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マンション経営を赤字にしないための対策
マンション経営を赤字にしないための対策は以下の8つです。
- リスクを見込んでシミュレーションを行う
- 立地の良い場所を選ぶ
- ニーズを応えた物件を選ぶ
- サブリース契約について学ぶ
- 空室対策を怠らない
- 税金の知識を身につける
- 修繕のタイミングをよく検討する
- 総収支がプラスのタイミングで売却する
リスクを見込んでシミュレーションを行う
マンション経営を赤字にしないためには、リスクを見込んで収益シミュレーションを行うことが重要です。
以下では表面上の収支に加え、家賃低下や管理費増額を見込んだ収支シミュレーションを出しています。
購入金額(マンション1部屋) | 3,000万円 |
ローン返済期間 | 35万円 |
家賃収入(1ヵ月) | 13万円 |
管理費(1ヵ月) | 1万円 |
ローン返済額(1ヵ月) | 10万円 |
- 1ヵ月の収益:13万円(家賃)- 1万円(管理費)-10万円(ローン返済額)= 2万円
しかし、家賃や管理は変動します。年月が経つほど、家賃は下がり、空室も増え、管理費が上がるのが一般的です。変わらないのは月額のローンの返済額のみです。
下記は購入後10年経過した場合の例です。
- 1ヵ月の収益:11万円(家賃)- 1万5,000円(管理費)-10万円(ローン返済額)= -5,000円
10年後家賃が2万円低下し、管理費が5,000円の値上がりを想定すると手元に残るお金は-5,000円になります。当初は年間で24万円ほどの利益を見込んでいたにもかかわらず、表面上の計算だけでも月に5,000円の赤字まで経営が悪化してしまいます。
また、上記のシミュレーションはリスクを小さく見積もったにすぎません。上記以外の支出として、固定資産税都市計画税、リフォーム、エアコンや水回りなどの設備負担、空室期間などを考慮すると1,000万円以上の費用を負担する可能性もあります。
シミュレーションの段階でマンション経営におけるリスクを考慮し、しっかりとした事業計画を立て、事前にリスク対策をしておけば赤字を回避することができるでしょう。
立地の良い場所を選ぶ
マンション経営は、立地の良い場所で始めることが赤字にならないために重要です。
いくら価格が安くても、駅から遠く、近くにスーパーやコンビニもないといった不便な土地であればマンション経営を始めても入居者は見つかりにくいでしょう。
マンション経営に適した土地は、人口の集中する都心部です。
都心部は地方に比べてマンション価格が高く利回りが低いですが、賃貸需要が高いため、入居者が見つけやすくなっています。
また、マンションの資産価値も維持しやすく、売却もしやすいため、マンションの売却まで考えるのであれば都心部でのマンション経営をおすすめします。
ニーズを応えた物件を選ぶ
マンション経営では、入居者のニーズに応えられる物件にすることも重要です。
例えば、大学の多い学生街であれば、ワンルームタイプの家賃価格が安いマンションが好まれます。
また、ファミリー層の多い住宅街であれば、家賃価格はそこそこ高くても広い部屋のあるマンションの方が入居者に好まれるでしょう。
そのため、マンションを購入、建築する際は立地条件の良い場所での経営、さらにはその地域にあるニーズを読み取ることが重要といえます。
サブリース契約について学ぶ
サブリースとは、サブリース業者が不動産オーナーの所有するマンションを一括で借り上げ、一戸単位で入居希望者に貸し出す際の仕組みのことです。
サブリース業者がマンションそのものを借り上げてマンション経営を行うことから、オーナーはほとんどリスクを負うことなく家賃収入を得ることができます。
しかし、賃料の見直しで収入が激減したり、サブリース業者が倒産してしまったり、入居者が選べないことからマンション内の治安が悪化してしまったりとリスクがないとは言い切れません。
そのため、サブリース契約を結ぶときには、契約内容をしっかりと確認して、サブリースの注意点を理解しておくことをおすすめします。
空室対策を怠らない
マンション経営で赤字にならないために、空室対策を怠らないことが重要です。
具体的には、募集条件を見直したり、敷金礼金を減らしたり、管理会社を変更したりと、できることは数多くあります。
中でも、まずは多くの人に物件を知ってもらえるような対策から行うことをおすすめします。
そもそも、入居希望者に知ってもらえなければ空室も減らないため、入居者を限定しすぎず、入居者の幅を広げるようにしましょう。
税金の知識を身につける
マンション経営では、マンションの取得時に不動産取得税や印紙税がかかり、経営開始後に所得税や住民税、固定資産税、都市計画税がかかります。
また、将来マンションを引き継ぐときにも、相続税や贈与税といった税金がかかります。
これらの税金には、特例などを適用できることがあり、しっかりと知識を身につけておくことで、節税につなげることができます。
そのため、定期的に情報収集を行うことをおすすめします。
修繕のための資金を積み立てる
マンション経営を続けていくにつれて建物自体が老朽化します。
建物が老朽化を放置すると、入居者が次第に減っていき、経営が苦しくなってしまいます。
そのため、マンション経営を始めたら、定期的な修繕を行い、老朽化対策をしていく必要があります。
また、定期的な修繕で補いきれない部分を修繕するための大規模修繕に向けて、毎月の家賃収入から修繕費を積み立てておくことが重要です。
総収支がプラスのタイミングで売却する
マンションの売却を考えるのであれば、タイミングが重要です。市場価格が上がっているときに売却をしないとチャンスをしてしまうでしょう。
「低金利」「融資が積極的に行われている」「日経平均株価が高い」といつた状況下では価格が高くなります。
そのため、売却相場を定期的に確認したり、物件サイトなどで情報収集をすることをおすすめします。
また、マンションを売却したくても、価格が悪い時は我慢できる、精神的・経済的な余裕も必要になるでしょう。
マンション経営の赤字とは?
マンション経営における赤字とは、月々の家賃収入で得られる金額よりも、ローンの返済額やマンションの維持費、税金などのランニングコスト(支出)が上回ってしまう状態のことを指します。
「赤字」と聞くとネガティブなイメージを持ってしまいますが、ここではマンション経営における赤字とは何かを説明します。
開始直後は赤字が前提
マンション経営を始めて数年は赤字が前提と考えましょう。マンションの購入や建築、最初は入居者もいないわけですから、赤字になるのは当然のことと言えます。
マンション経営が黒字化するまでには最低でも10年はかかります。マンション経営をするうえで「絶対に赤字をだしたくない!」という気持ちはわかりますが、マンション経営をやるのであれば長い目で見ることが大切です。
最終的な収支が黒字になれば成功
マンション経営が赤字続き、なかなか黒字にならないという場合も心配ありません。最終的にマンションの売却に成功すればマンション経営の成功といえます。
ただ、マンションの売却時にローンが残っていないこと、赤字といっても額が小さいことは最低条件になります。これらの条件を満たしていればマンションの売却時、結果的に黒字化することが多いです。
赤字にすれば節税効果が見込める!?
どうしても節税効果を得たいのであれば、赤字を出すことで節税効果が期待できますが、節税のためにわざわざ赤字を狙って不動産投資をするのは本末転倒です。
マンション経営を始めようか考えたとき、どのようにマンションを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば5階建てにするか10階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やマンション経営の目的によって変わります。
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マンション経営が赤字になったときの損益通算
もし、マンション経営が赤字になった場合には、損益通算をすることができます。
ここでは、損益通算の仕組みや確定申告時の書類の書き方について解説します。
損益通算とは
これを損益通算といい、不動産所得の赤字を他の所得と合算することで、所得税や住民税の節税になります。
赤字による節税効果
ここでは、給与所得700万円の人がマンション経営で200万円の赤字が出た場合の所得税額の違いをミュレーションしていきます。
まずは、マンション経営を行わなかった場合の所得税額を計算していきます。
- 給与所得控除額:700万円 × 20% + 54万円 = 190万円
- 所得税額:(700万円 - 190万円 - 150万円)× 20% - 427,500円 = 292,500円
では、マンション経営を始めた初年度200万円の赤字が出た場合にはどうなるでしょうか。
- 課税所得:給与所得(700万円 - 190万円)+ 不動産所得(-200万円)= 310万円
- 所得税額:(310万円-150万円)× 5% = 8万円
確定申告時の書き方
マンション経営が赤字なってしまった場合でも必ず確定申告を行いましょう。
不動産所得が赤字の場合は確定申告を行わなくても良いのですが、損益通算により恩恵を受けられるため、必ず確定申告を行うことをおすすめします。
もし、確定申告を行う場合には、不動産所得を記入する欄にそのままマイナス(△)をつけるだけで問題ありません。
マンション経営の赤字は必ずしも悪い訳ではない
マンション経営では、会計上もキャッシュフローも赤字にならないに越したことはありません。
もし、確定申告の際に不動産所得が赤字になってしまっても焦る必要はないでしょう。
しかし、キャッシュフローが赤字になってしまった場合には、早急に対策を打つ必要があるので、これまで紹介した方法でキャッシュフローの改善に取り組みましょう。
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