アパートローンを契約している方の中には、アパートローンの借り換えを検討している方もいらっしゃると思います。
この記事では、アパートローンの借り換えの効果や、借り換えに適したタイミング、借り換えできる条件や手順について解説します。
今、アパートローンを借り換えるべきかどうかを判断するご参考にしてください。
- アパートの借り換えは「返済総額を減らす」メリットがある
- アパートローンの借り換えが向いているのは「残高が1,000万円以上かつ返済期間が10年以上残っているケース」など
- 借り換え時には現在のアパートの資産評価や経営状況も審査される
アパートローン借り換えで得られる効果
現在よりも金利の低いアパートローンへの借り換えによって、ローンの返済総額を減らし、アパート経営の収支を良くすることができる可能性があります。
アパートローンの借り換えとは
アパートローン借り換えとは、現在契約中のアパートローンを別の金融機関のローンに借り換えることを指します。
主な目的
アパートローン借り換えの主な目的としては、以下の3点が挙げられます。
- ローンの返済負担を減らすため
- 返済計画を変更するため
- 保証内容の良いローンに変更するため
なかでも多くの方が、「①ローンの返済負担を減らすため」に借り換えを行っています。
より金利の低いローンに借り換えることができれば、利息の支払い額を減らし、返済総額を抑えることができます。
アパートローン借り換えによるメリットは、2章でも詳しく解説していきます。
アパートローン借り換えの壁
アパートローンを借り換えるには、借り換え元のローンを解約するための費用と、借り換え先で新しくローンを借り入れるための費用がそれぞれかかります。
借り換え元のローンの解約には、一括返済のための手数料だけでなく、契約によっては違約金がかかることもあります。契約書の記載を確認してみましょう。
また、アパートオーナーの現在の属性や信用情報によっては、借り換え先の融資審査が下りない可能性もあります。
たとえば、アパートローンの滞納履歴があったり、債務整理の経験があると、借り換えは難しくなります。アパートローン借り換えの審査基準については、4章にて詳しく解説します。
なお、アパートローンの借り換えは、返済中のローン残債が対象です。完済済みのローンについては、借り換えの対象となりません。
借り換えによる返済総額の変化
現在契約中のアパートローンよりも金利が低いローンに借り換えることができれば、利息の支払いを抑えられるため、ローンの返済総額を減らすことができます。
例として、金利1%の違いによる返済総額の違いをみてみましょう。
以下の表では、金利3%と金利が2%のアパートローンについて、返済総額の残高が1億円で残り返済期間が20年の場合の返済額を比較しています。
毎月の返済額 | 毎年の返済額 | 返済総額 | |
---|---|---|---|
金利3%のアパートローン | 約55万円 | 約666万円 | 約1億3,310万円 |
金利2%のアパートローン | 約51万円 | 約607万円 | 約1億2,141万円 |
金利が1%低いアパートローンに借り換えることで、毎月の返済額が約4万円、返済総額では2,300万円ほど低くなります。
このように、金利が1%違うだけで返済総額に大きな差が出ることがわかります。
これからアパートを建てる予定の方は、アパート建築費を抑えられれば、そもそもの借入額を減らして収支を良くすることができます。
アパート建築については以下の記事をご参照ください。
アパートの建築予定のある方は、複数の施工会社の建築プランを比較して検討しましょう。大手のハウスメーカーであれば、提携先の金融機関の紹介を受けることで、アパート経営の実績が少ない方でもローンの借り入れを行いやすいです。
建築プランの比較をしたいときは、土地活用比較サイトの一括見積サービスを利用すると、手間や時間を省けて便利です。
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アパートローン借り換えのメリットとデメリット
アパートローンの借り換えにはメリットだけでなく、デメリットもあります。メリット・デメリットをよく理解した上で、借り換えを行うかどうかを判断しましょう。
アパートローン借り換えのメリット
アパートローン借り換えのメリットは以下の通りです。
- 月々の返済額を減らせる
- 返済計画を変更できる
- キャッシュフローを改善できる
- 信用度が高められる
- 保証内容の良いローンに変更できる
月々のローン返済額を減らせる
現在よりも低金利のアパートローンに借り換えることによって、毎月のローン返済額を減らせます。
1章でも解説したように、支払う利息が少なくなるとローン返済総額が抑えられ、ひと月あたりの返済額も減少します。
- 金利が1%違うだけで毎月の返済額が数万円単位で変わり、手元に残るお金を増やせます。
家賃収入からローン返済額を差し引いたお金が増えれば、アパートの修繕によりお金をかけたり、想定外の支出の発生に備えやすくなります。
ローンの返済計画を変更できる
アパートローンを借り換えることで、現在の状況に合わせた返済計画に変更できます。
アパートの建築時は、建物や設備も新築で、計画通りに経営がしやすいものですが、建物や設備が経年劣化により最初の計画では返済が難しくなってしまうこともあります。
また、どんなローンでも、ローンの途中に借り入れ条件を変更することは難しいため、そのままでは返済不能にまで陥ってしまう可能性もあります。
そこでアパートローンを借り換えると、今の建物・設備の状態や空室率に合わせて返済計画を組み直すことができます。
今よりも低金利のローンを組むことができれば、収支がプラスになることもあるため、アパート経営の収益性が改善されることもあります。
キャッシュフローを改善できる
キャッシュフローとは、一定期間内における現金および現金同等物の収支のことをいいます。
アパート経営の場合、減価償却費を経費として計上できることから、経理上の収益は黒字でも、手元にキャッシュが残らないといった状況に陥ることがあります。手元にキャッシュがなければ予期せぬ災害や設備の故障に対応するのが難しくなります。
キャッシュフローの改善はアパート経営にゆとりをもたらすだけでなく、多く残ったキャッシュを元手に、たとえばローンの繰り上げ返済を行ったり、新たな投資を行ったりといったことができます。キャッシュフローを改善するには、収入を増やすか、あるいは支出を抑える対策が必要です。低金利のローンへの借り換えは、毎月のローンの返済額を抑えられるため、支出を抑える対策になります。
信用度が高くなる
現在契約している金融機関から、大手の金融機関に借り換えることができれば、個人の信用度が上がります。
大手の金融機関と取引実績があればオーナー個人の信用度が向上するため、さらに新しく物件を購入・新築するにあたって金融機関に融資相談をする時に有利になります。
積極的に不動産投資を拡げていきたい方は、検討してみてください。
保証内容の良いローンに変更できる
アパートローンを借り換えることで、既存のローンの契約時になかった保障を新たに受けられる可能性があります。
アパートローン契約時には、団体信用生命保険に加入することができます。団信に加入すると、保険料が金利に上乗せされる代わりに、契約者が死亡したり高度障害を負ったりなどした場合に、生命保険で残債を相殺できます。
近年では、がん保障団信や三大疾病保障団信など、従来の団体信用生命保険の保障内容を拡充する特約付きプランが増えています。しかしながら、既に契約済みのプランに後からがん特約や三大疾病特約を追加することはできないケースが多いです。
そこで、アパートローンの借り換えるタイミングで、新しく保障内容を追加した団信に加入し直すという選択を取ることができます。
ただし、アパートローンを団信で相殺してしまうと相続人に相続税が発生する可能性があります。また、収益性の高いアパートであれば、団信に加入せずに金利を抑えてローンを契約して、もしもの時は相続人がローンの返済を続ける方が結果的に有利になることもあります。特約付きの団信に加入すべきかどうかは、事前にシミュレーションをした上で判断するのがおすすめです。
アパートローン借り換えのデメリット
アパートローン借り換えによって生じうるデメリットは、以下の通りです。
- 借り換えには手数料がかかる
- 既存の金融機関との信頼関係が崩れる
- 毎月の返済額が増えることもある
借り換えには手数料がかかる
前述の通り、アパートローンの借り換えにはさまざまな費用がかかります。
かかる費用は主に、借り換え元のローンを解約するために必要なものと、借り換え先で新しくローンを借り入れるために必要なものに分けられます。
▼借り換え元のローン解約にかかる費用の内訳
費用の項目 | 内容 |
---|---|
一括返済手数料 | 新しく借り換えたローンで元のローンを一括で完済する時にかかる事務手数料。金融機関によって金額は異なります。 |
違約金 | ローンの契約内容によっては、解約時に残債に応じた違約金がかかります。相場は借り換え金額の1~2%で、数十万円~数百万円かかることがあります。 |
抵当権の抹消費用 | 元のローンについて、アパートにかけられていた抵当権を抹消するための費用です。登録免許税のみであれば、1件1,000円かかります。 |
▼新しく借り入れいるために必要な費用の内訳
費用の項目 | 内容 |
---|---|
事務手数料 | ローンの借入時にかかる事務手数料。金融機関によって異なるものの、借入額の1%〜2%が相場です。 例えば5,000万円借り入れると、約50~100万円の事務手数料がかかります。 |
保証料 | ローンを組む時に利用する保証会社への手数料。借入額の1~2%程度が相場です。 例えば5,000万円借り入れると、約50~100万円の事務手数料がかかります。 |
登録免許税 | 新しいローンの抵当権を設定するためにかかる税金。「借入額×0.4%の金額」がかかります。 例えば5,000万円借り入れると、20万円が課せられます。 |
印紙税 | 契約書の作成時に、契約金額に応じて課せられる税金。数千円~数万円程度が相場です。 例えば5,000万円借り入れるときは、2万円が印紙税として課されます。 |
司法書士報酬 | 抵当権設定手続きを行う司法書士に支払うお金。 抵当権抹消も合わせて依頼できます。かかる費用は数万円から十数万円と、依頼する手続き内容と司法書士によって変わります。 |
ローンの残債が少ない場合は、アパートローン借り換えによる支払いの減少額よりも借り換えの際にかかる費用の方が高くなってしまうということも起こり得ます。
効果的な借り換えをするためには、借り換えによって減額できる支払い額だけではなく、かかる費用の見積もりもしておきましょう。
既存の金融機関との信頼関係が崩れる
アパートローンの借り換えをしてしまうと、それまで融資を受けていた金融機関との付き合いが終了してしまいます。
そもそも金融機関はオーナーが長期的に利息を支払ってくれることを期待して融資を実行しています。そのためオーナーが借り換えを行えば、その信頼関係は打ち切られることになります。
ローンの貸付は信頼関係に依る部分も大きいです。将来的に事業を拡大していくつもりのある方は、安易に金利だけで借り換えを判断せず、付き合いのある金融機関を開拓していくという視点を持つことも重要です。
金融機関側がオーナーを優良な顧客であると認識しているのであれば、借り換えを検討している旨を相談することで、融資プランの見直しを行ってもらえる可能性があります。ご自身にとってより有利な条件でローンを組み直すだけでなく、金融機関と良好な関係を築いていくためにも、ローンの借り換え検討時には、元々の金融機関にも相談してみることをおすすめします。
毎月の返済額が増えることもある
借り換え先の返済期間が元のローンよりも短くなることで、ひと月あたりの返済額が増える可能性があります。
借り換え先の融資審査は、今のアパートに対して改めて行われるため、結果によっては元のローンの残りの返済期間よりも、新しいローンの返済期間が短くなることがあります。
低金利のローンに乗り換えることで返済総額は減らせますが、月々のキャッシュフローが悪化してしまうことで、アパート経営に無理が生じてしまわないか、よく確認をしましょう。
アパート経営を始めるなら最初の情報収集が重要です。日本最大級の土地活用プラン比較サイト「イエウール土地活用」なら、土地所在地を入力するだけでアパート経営のプランを取り寄せることができます。
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アパートローンの借り換えが効果的なタイミング
アパートローンの借り換えを検討しているものの、「今ローンの借り換えをして、損をしないだろうか」と心配な方もいらっしゃるでしょう。
この章では、アパートローンの借り換えが特に効果的なタイミングについて解説します。
- ローンの残高が1,000万円以上残っている時
- ローンの返済期間が10年以上残っている時
- 金利の固定期間が終了する前
- 信用度が向上した後、または低下する前
金利の相場や融資の状況は常に変動するため、必ずしも「このタイミングで借り換えれば得をする」というわけではありませんが、条件に該当している時は返済シミュレーションを行ってみるなどして、アパートローンの借り換えを検討してみる価値があります。
ローンの残高が1,000万円以上残っている時
アパートローンを借り換えるなら、ある程度ローンが残っているタイミングがおすすめです。目安としては残債が1,000万円以上あるときです。
アパートローンの借り換えには、数十万円以上もの費用がかかります。
たとえば残債が1,000万円以下の時点での借り換えは、軽減される利息の支払いに対して手数料や登記費用が高くつきやすく、メリットが薄れてしまいます。
費用がかかるという借り換えのデメリットを抑えるには、残高が多い段階での借り換えがおすすめです。
ローンの返済期間が10年以上残っている時
ローンの返済期間が10年以上残っているときも、アパートの借り換えタイミングとしておすすめです。基本的に、ローンは残りの返済期間が長ければ長いほど、返済総額を減少させられる効果が大きくなります。これは、返済期間が進むにつれて毎回の返済額に占める利息の割合が小さくなっていくためです。つまり、残りの支払い回数が少なければ、「利息の支払いを抑える」目的での借り換えのメリットは薄くなります。
目安として、返済期間が残り10年を切る前に、借り換えを検討してみるとよいでしょう。
金利の固定期間が終了する前
「当初固定金利」でアパートローンを借り入れている場合、金利の固定期間が終了すると、変動金利または再度期間を定めた固定金利の適用を受け直すことになります。
契約当時から金利相場が上がっていると、金利の固定期間が終了するタイミングでアパートローンの金利が上昇してしまう恐れがあります。そこで、金利が上がってしまうリスクを回避するという観点からも、借り換えを検討するタイミングとしておすすめです。
ただし、借入中の金融機関も、借り換えを防ぐために金利や契約条件の交渉に応じてくれる可能性があります。借り換えをすると元の金融機関とのお付き合いが切れてしまうというデメリットもあるため、他の金融機関への借り換えも視野に入れながら、借入中の金融機関との交渉も行ってみましょう。
信用度が向上した後または低下する前
ローンの契約中に個人の信用度が上がった場合、融資条件が厳しい金融機関の審査基準を満たすようになり、低金利のローンに借り換えられる可能性があります。個人の信用度が上がるケースとしては、たとえば年収が増えたり、保有している資産の価値が上がったりすることや、順調にローンを返済できていることが挙げられます。
反対に、転職による収入の減少など、今後信用情報が悪化する見込みがある場合は条件の良いうちに借り換えを行っておくのも有効でしょう。
金融機関からの与信が悪くなってからでは、良い条件での借り換えができなくなってしまいます。特に当初固定金利や変動金利でローンを契約している方は、金利上昇リスクを回避するという観点からも借り換えのタイミングを検討するのがおすすめです。
アパートローンの借り換え可否の審査基準
この章では、アパートローンの借り換えが可能かどうかを判断される審査基準について解説していきます。
アパートローンを借り換えるためには、借り換え先の融資審査に通らなければなりません。
借り換えの審査基準は、ローンを新規に借り入れた時とは異なり、現在までのアパートの経営状況もチェックされます。また、どの要素を強く評価するかは金融機関によって異なることも、念頭に置いておきましょう。
オーナーの信用情報
オーナーの信用情報は、アパートローンの借り換え時にもチェックされます。
たとえば、勤務先、年収、保有している金融資産などが審査の対象となります。
融資の審査は、アパート経営が悪化した際にオーナーに返済を続けられる能力があるかを判断するために行われるので、年収は特に重視されやすいポイントです。本業が会社員ではない経営者や個人事業主の方は、あわせて預貯金や金融資産がいくらあるかも重視されます。
アパートの資産評価
アパートローンの借り入れ(借り換え)は、アパートを担保にして行うため、アパートそのものの資産価値も融資の可否の判断基準となります。
基本的に、「アパートの担保評価額>借入額」となっていれば、融資を受けやすくなります。
アパートの担保としての評価額は、不動産評価額に「担保掛目(担保評価割合)」をかけ合わせて決められるため、借入可能額はアパートの不動産評価額そのものよりも小さくなります。担保掛目は金融機関がそれぞれ独自に設定していて、非公開であることが多い情報ですが、60~70%程度が目安となります。
不動産評価額は、積算評価法や収益還元法によって計算されます。特に積算評価の場合、アパートの建物の評価額は新築時よりも下落します。予め両方の計算方法でシミュレーションしておき、積算評価が伸びない場合は収益性を重視してくれる金融機関を中心に検討するとよいでしょう。
アパートの経営状況
アパートの経営状況、つまり空室割合や利回り(家賃設定)は、収益性を重視して融資を審査する金融機関が特にチェックするポイントです。
現状、空室割合が高い場合や、満室であっても家賃が著しく低い場合は、今後安定した返済を続けることが難しいと判断され、融資が下りない可能性があります。
アパートに空室が目立つ場合は、まずは空室対策を行って現況を改善した上で借り換えを検討するのがおすすめです。
ローン返済の延滞の有無
既にアパートローンの返済に延滞がある場合には、借り換えの審査が下りないことがほとんどです。
また、過去の延滞履歴や、債務整理等の有無も、数年間遡ってチェックされます。将来的にローンの借り換えを検討している場合は、滞りなく返済をし続けることを心がけましょう。
アパートローン借り換えの手順
スムーズにアパートローンの借り換えをするためにも、手続きの順序を把握しておきましょう。
- アパート経営の状況把握と資料準備
- 借り換え先を探す
- 問い合わせと契約
- 既存ローンの一括返済手続き
- 抵当権の抹消と新たな登記登録
これら5つのステップによって、アパートローンの借り換えは成立します。
アパート経営の状況把握と資料準備
まずは現在のアパート経営状況を把握し、借り換え時に必要な資料や書類を準備しましょう。
アパート経営状況については以下のポイントを把握しておくとよいです。
物件情報
収支状況
- 自己資金額
- 毎月の返済額
- 現状の金利
これらを正しく把握しておき、どの条件で借り換えができると返済が楽に行えるのかを試算しておきましょう。
借り換えたからといって、必ずしも返済が楽になるとは限らないので、事前に試算をすることは重要です。また、問い合わせや相談、借り換えの申し込みをスムーズに行うためにも、必要な資料や書類は不備なく揃えておかなければなりません。
必要な資料や書類については次の4章で詳しく解説します。
借り換え先を探す
事前の試算をもとに、借り換え先の金融機関を探していきましょう。金融機関を探す際には、金利や審査の厳しさ、対応しているエリアなどを考慮することが大切です。まずは現在所有しているアパートの所在地から、借り換えに対応している金融機関を探しましょう。
その中から、金利や審査の厳しさなどの条件を比較し、どの金融機関に借り換えるかを決めていきます。金利は、金融機関によって異なるので複数社で比較が必要ですが、基本的には都市銀行がもっとも金利が低い傾向にあり、次に地方銀行、信用金庫の順となっています。
しかし、審査の厳しさは反対であり、もっとも審査に通りやすいのが信用金庫、その次に地方銀行、最後に都市銀行の順番です。金利が低く、好条件で借りられるものほど、審査は厳しくなりやすいと心得ておくとよいでしょう。
借り換えによるキャッシュフローの改善を目指すなら、まずは金利の低い都市銀行から打診してみることがおすすめです。
都市銀行
既に安定した収入のある方や、新築の物件を購入する方は、都市銀行でのアパートローン借り入れがおすすめです。
代表的な都市銀行は次の5つです。
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- みずほ銀行
- りそな銀行
- 埼玉りそな銀行
都市銀行は金利1%〜2%と低いところが多く、総返済額を減らすことができる点がメリットです。
ただし、メガバンクの融資審査は厳しいです。ローン返済力の目安として、物件価格の3割を自己資金で用意できるかを基準にするのが良いでしょう。
地方銀行
地方銀行は、メガバンクに比べて融資の基準が低い点がメリットです。そのため、都市銀行だと断られてしまう築古の物件や地方の物件でも、融資を受けられる可能性が高いです。
しかし、都市銀行と比べて金利が高い点がデメリットです。金利はおよそ3%〜5%です。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、財務省管轄の特殊会社です。民間の金融機関で融資を受けられない、収入が低い方でも融資を受けられるのが公庫の特徴です。
そのため、アパート経営がはじめてという方でも融資を受けやすいでしょう。
固定金利で金利が低く、およそ1.2%~2%の金利で融資を受けられる点もメリットです。
信用金庫・信用組合
地元の信用金庫、信用組合は、地域密着型の金融機関です。
金利は2%~3%と地方銀行と比べて低く、また都市銀行よりも融資の基準は厳しくありません。しかし、地元密着の企業のため、基本的には信用金庫や信用組合のある限られたエリアでしか融資を受けられません。エリア以外の条件は、柔軟な傾向があります。
問い合わせと契約
借り換え先の金融機関が絞り込めたら、問い合わせを行い、各種条件の取り決めをして契約しましょう。借り換えローンは最初の1社で決まるケースは少ないので、何社か候補を残しておき、順次問い合わせをすることが大切です。
条件を下げることで借り換えができるケースもあるので、最初の1社で断られたからといって諦めず、複数社に打診して、契約まで結び付けましょう。
既存ローンの一括返済手続き
借り換えのローン契約が決まったら、融資を受けて既存のローンを一括返済します。以前利用していた金融機関にて手続きを行い、ローンを完済して解約となります。
一括返済の際には違約金だけではなく、一括返済手数料がかかることもあります。そのため、解約時にどれくらいのコストがかかるかは、事前に現在契約している金融機関に確認しておきましょう。
抵当権の抹消と新たな登記登録
ローンを一括返済した後は、法務局で既存の金融機関が設定した抵当権を抹消し、新たに契約した金融機関の抵当権の設定を行います。
抵当権の抹消と設定の手続きは複雑になりやすいので、司法書士に依頼することが一般的です。司法書士は自分で探すほか、金融機関によっては提携している業者を紹介してくれることもあります。
活用事例:Afit(戸建賃貸)
エリア | 広島県 |
土地面積(㎡) | 800 |
延べ床面積(㎡) | 421.46 |
工法 | 木造在来 |
建築費用(円) | 5,000万 |
\建築費は?初期費用は?/
アパートローン借り換え前に準備しておきたい必要書類
アパートローンの借り換えをするには、さまざまな書類が必要です。スムーズに手続きを進めるためにも、必要書類を把握して、事前に準備しておきましょう。書類に不備があると、ローンの借り換えが滞ったり、場合によっては借り換えができなかったりすることもあるので注意が必要です。
問い合わせや相談時に準備するもの
借り換え先の金融機関に問い合わせたり相談したりする際には、オーナーに関する書類と物件に関する書類が必要です。
借り換えの際には事前に金融機関に問い合わせをして書類を用意しておきましょう。
オーナーに関する書類
アパートローンを借り換える際には、年収や自己資金がいくらあるかを金融機関に提示する必要があります。
- 源泉徴収票
- 銀行通帳
源泉徴収票は年収を提示できるように過去3年分ほど用意しておきましょう。
また、銀行通帳は、現在の資金がどれくらいあるかを提示するために必要です。複数の通帳を持っている場合はすべて持参すると、より自己資金を明確に示しやすいです。
物件に関する書類
アパートに関する物件の情報書類については、次の3つを用意する必要があります。
- 現在のローンの返済予定表
- 重要事項説明書
- 売買契約書
ローンの返済予定表は、アパートローンを組んだ際に受け取っている書類です。重要事項説明書や売買契約書は、不動産購入時に取得したものを使用しましょう。
借り入れ申し込み時の必要書類
新しい金融機関への借り入れを申し込む際には、次の書類が必要です。
- 登記簿謄本・公図
- レントロール
- 確定申告書
- 本人確認書類・職務経歴書
- 源泉徴収票や銀行通帳
- ローンの返済予定表
- 重要事項説明書
- 売買契約書
登記簿謄本や公図は、アパートの権利関係の状態や物件の詳細な状況を提示するために必要です。法務局の窓口で取得できるほか、申請書を郵送したり、法務局のサービスからオンライン申請して取得したりすることもできます。
レントロールは、アパート経営の状況を確認するための資料であり、金融機関によってどの書類を指すかは異なります。基本的には、契約している管理会社から毎月送られてくる報告書や資料などが多いですが、確実に用意するためにも、事前にどのような書類が必要なのかを聞いておきましょう。
アパート経営の収支を確認するために、確定申告書も必要であり、これは過去何年分まで必要なのかを確認しておくことが大切です。ローン借り換えの際には身元を証明できる書類も必要であり、顔写真付きの本人確認書類を用意したり、職歴を記した職務経歴書を作成したりしておきましょう。
他にも、事前の相談や問い合わせで必要な源泉徴収票や銀行通帳、ローンの返済予定表や重要事項説明書、売買契約書なども必要となります。
事前準備と借り換え効果の試算が借り換えのポイント
アパートローンの借り換えをするなら、事前準備を徹底して行うことが大切です。
借り換えによって本当に期待しているメリットが得られるかどうかを確かめるために、ローン返済額のシミュレーションだけでなく、アパートの現在の資産価値や、かかる費用の見積もりを予め行っておきましょう。
所有している土地で新たに土地活用を始めたい方は、「イエウール土地活用」の一括見積を利用して、土地活用のプロに相談するのが便利でおすすめです。
複数企業からまとめて提案を受けられるので、ご自身の土地にとって最適な活用方法や建築プランを見つけられるでしょう。
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