アパート管理は入居者の募集や家賃の集金だけでなく、物件や設備の維持管理など、業務は多岐にわたります。
自分で行う場合(自主管理)は、専門知識やノウハウが必須と言えるでしょう。そのほかに管理会社に管理を依頼してお任せする管理委託という方法もあります。
ここでは、自主管理と管理委託の方法についてメリット・デメリットを理解し、自分に合った方法でアパート経営ができるよう解説します。
アパート経営の初期費用や維持費用については、以下の記事をご覧ください。
アパート管理の主な業務
所有している土地の活用方法の1つとして、アパート経営を検討している人もいるでしょう。アパート経営で自分がオーナーになった場合、どのような業務が発生するのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
入居者募集や審査
アパート経営で最も避けたいリスクは長期間の空室です。物件の部屋を満室にするためにも、入居者の募集は大切です。
まずは不動産業者に入居者の募集をしてもらいましょう。1社のみに募集を依頼することを専任媒介、複数の業者に募集を依頼することを一般媒介と言います。いずれかを選んで依頼します。媒介をしてもらう不動産業者には空室の鍵を渡したり、現地にキーボックスを設置してその暗証番号を伝えたりしてお客様のご案内をしていただきます。
内見をされたお客様が物件を気に入ると不動産業者から連絡があり、入居申込書が送られてきます。
入居申込書には入居希望者の住所や氏名はもちろん、連帯保証人を付けた場合はその氏名や住所、勤務先や年収などが記入されています。ただし、まだこの段階では入居が決定していないので、申込みが撤回される可能性もあることを覚えておきましょう。
申込みがあったら入居者の審査を行います。審査では、賃料の支払い能力があるか、滞納する人柄ではないかなどに注目して審査します。
入居者の個人情報を扱うため、取り扱いは慎重に行いましょう。審査の結果、入居を断る場合は仲介した不動産業者にその旨を伝えます。
実際に、入居者トラブルによって家賃収入が思うように入らず撤退した方もいらっしゃいます。
家賃の回収
入居が決まったら、入居者とオーナーの間で賃貸借契約を結びますが、通常この契約書は不動産業者が作成します。オーナーは契約内容が問題ないか、事前にチェックするとよいでしょう。契約時には契約金として敷金や礼金と共に日割賃料や翌月分賃料が前家賃として振り込まれます。その後は入居者による振込みで毎月の賃料が入ってきます。
オーナーは毎月入金がされているかを確認しましょう。自主管理で、もし入金が確認できないことがあった場合は入居者へ家賃を振り込むよう連絡をする必要があります。
連絡をしても入金が確認できない場合は、滞納への対応を準備する必要があります。
入居者のトラブル対応
自主管理の場合、入居者から届く苦情などへの対応もオーナーの業務です。主なものは物件の設備の故障が挙げられます。
また、近年増えているのが住民同士のトラブルです。騒音などの苦情が多く、住民同士で直接やり取りするのではなく、オーナーを挟んでやり取りすることが賢明とされているため、そういった苦情への対応も必要です。
入居者からの苦情は、できるだけすみやかに対応するよう心がけておきましょう。
建物のメンテナンス
建物のメンテナンスには、清掃や建物の老朽化などによる修繕などが挙げられます。
オーナーは入居者が問題なく生活できるよう、日常的に必要な業務として認識しておくと良いでしょう。建物の設備が老朽化により陳腐化すると賃料の下落にもつながるため、定期的な点検を行うことをおすすめします。
また、入居中の部屋の設備に不備や不具合が生じた場合は、オーナー所有の設備であればオーナーの責任で修繕を行う必要があります。
その場合は、すみやかに対応することが大切です。入居者が退去する際には、部屋の原状回復(ルームクリーニングなど)を行います。退去日は1ヶ月以上前に連絡をする契約になっていることが多いため、退去日が分かったらリフォーム業者に連絡を取り、ルームクリーニングや設備ごとに修繕を行えるよう段取りを整えておきましょう。
契約の更新
通常、入居者が同じ部屋に住み続けるには一定期間ごとに更新料を支払って更新後の契約を行うという流れになっています。自主管理の場合は、更新日よりも約2ヶ月前に入居者に更新の意思確認をするようにしましょう。
それに合わせて契約書や精算書等の準備なども必要となります。更新する場合は、更新料の支払いについての説明や入金確認も行います。
更新を行わない場合は、退去するということになるため、退去に向けての準備を行いましょう。尚、以下で解説する管理委託をしている場合は、これらの業務は不動産業者が行うことになります。
アパートの資金管理
アパート経営にて不動産収入を得た場合は、確定申告が必要です。日頃から細かく収支を記録しておくようにしましょう。
家賃や礼金、更新料などで得た収入や、建物設備の交換や点検、修繕などでかかった支出などだけでなく、経費として計上できるものも整理しておくと分かりやすいです。
建物設備の修繕費用などは全額経費として計上できるものもあります。他にも、火災保険や地震保険、施設賠償保険などの保険料も全額経費とできるので、確定申告の際に困らないようまとめておきましょう。
活用事例:ペット愛好家の心をつかんだ賃貸住宅
エリア | 北海道 |
土地面積(㎡) | 332 |
延べ床面積(㎡) | 243 |
工法 | 木質パネル接着 |
「騒音の問題や、糞などの苦情も無いようです。やはり入居者のみなさんが動物好きで、しかもマナーが良いお陰で、問題が起きないのでしょう」とオーナー様。設備が行き届き、管理も徹底している物件には、自ずとマナーの良い入居者が集まるという典型的な例といえるでしょう。
敷地内には犬を自由に遊ばせることができるドッグランを設置するなど、ペット好きの心を掴んだこの物件は、完成を待たずして入居者が決まりました。(ミサワホーム株式会社の土地活用事例)
アパートの管理形態
アパートの管理には、自分で全て行う方法と、不動産会社に管理を依頼する方法があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットについて把握し、自分のアパート経営ではどちらの手法で行うかの参考にしましょう。
アパートの自主管理
自主管理は、オーナー自ら管理を行う方法です。アパート管理を日常的に行う時間がある、手間が惜しくない、賃貸物件の近くに住んでいるといったオーナーにおすすめです。
また、管理手数料などが必要ないので、最も年収に期待できる管理方法です。
自主管理の特徴
自主管理では、運営や管理全般を自分で行います。清掃などの日常的な管理も必要になってくるので、本業が別にあるケースや賃貸物件から遠方に住んでいるといったケースでは難しいと考えましょう。
アパート経営で失敗しないためには、知識やノウハウが必要です。自分で管理・運営を全て行う場合、アパート経営初心者にはおすすめできません。
時間ややる気の有無だけでなく、賃貸物件を複数運営しているなど、アパート経営に関する知識やノウハウに自信がある場合は自主管理で経営してみても良いでしょう。
メリットとデメリット
自主管理の最大のメリットは、不動産業者に支払う管理委託手数料がかからないという点です。
入居者との契約にも自分が行う場合は、入居者とのコミュニケーションをとることも可能です。自ら入居者とコミュニケーションをとっていれば、信頼関係を構築することができるので長期入居してもらえたり、何かトラブルがあった時でも入居者からの協力を得られたりする可能性もあります。
デメリットは、管理全般を自分で行なわなければならないため、手間や時間がかかるという点です。管理する戸数が増えてくると、自分だけでは手が回りきらず、管理が不十分になることも考慮しておく必要があります。
1棟か2棟程度のアパート管理であれば自分で行うことも可能な範囲ですが、それ以上の管理が必要な場合は、管理のクオリティを落とさないためにも、自主管理を諦めることも検討しましょう。
また、物件の管理では専門知識が必要です。専門知識がないことで、修繕のタイミングが遅くなってしまい、修繕費用が高額になってしまうこともあります。
アパートの管理委託
管理委託は、アパート経営を自分で行わず不動産会社に管理を依頼して運営する方法です。本業が別にある場合や、アパート管理に時間をかけられない人などにおすすめの方法です。
管理委託の特徴
アパート経営における全ての管理業務を依頼するやり方と、一部を依頼するやり方があります。どの部分を不動産会社に依頼するのかは、不動産会社と相談して決めることができるので、自分でも管理をしたいけど全ては難しいといった場合に検討すると良いでしょう。
メリットとデメリット
専門知識やノウハウを持った不動産会社に管理を依頼できるので、オーナー自身の手間はかかりません。専門知識を必要とする対応が必要となった時でも、安心して任せることができるのもメリットです。
アパート経営を投資事業として捉え、最大限に利益を生み出したい時には、専門知識を持ったプロに依頼し、空室リスクやクレームなどからのトラブルを回避できる方法を選択するのも良いでしょう。
ただし、管理を依頼する不動産会社には管理手数料を支払う必要があります。自分の大切な資産であるアパートの管理を依頼するので、信頼できる不動産会社を探すことも重要ですが、こうした費用もかかってしまいます。
もし、依頼した不動産会社が悪質だと、入居者から管理に対してクレームが出ることがあるかもしれません。また、入居者や物件に関して正確な情報がオーナーまで届かないといった状況になる可能性もあります。
管理業者の選び方
アパート管理を依頼する管理会社を選ぶには、どのようなポイントに着目したら良いのでしょうか。管理会社によって、考え方や管理の手法が異なるので、複数の管理会社と相談して決めるのがおすすめです。
入居率を調べる
アパート経営で最も回避したいリスクは、長期間に渡り空室になることです。候補の管理会社が見つかったら、その管理会社が管理している別の物件の入居率を見てみましょう。
空室の有無や、空室の状態でどれくらいの期間が経過しているのかなどをチェックするのがおすすめです。空室がなかったり、短い期間ですぐに入居者が決まっていたりすれば、安定して入居者を見つける能力があると判断できます。
管理している戸数が多いというのも判断基準の1つです。それだけ信頼されて任されているという証拠とも言えるでしょう。
入居者確保を優先し、長期的に安定した家賃収入を得たい場合は、賃貸の仲介部門を持つような管理会社を選ぶのがおすすめです。
仲介部門があれば、自社で入居者募集を行うことが可能ですが、客付力も合わせてチェックするようにしましょう。
土地をお持ちの場合、その土地付近で検討中の管理会社が管理する物件について確認しておくと有力な情報をゲットすることができます。
担当者の対応をみる
管理会社へ問い合わせや見積もりを依頼した際には、担当者の対応をしっかりとチェックしておきましょう。管理委託を契約すると、オーナーは担当者と密に連絡を取ることが増えます。
心配なことや不安なことを気軽に相談して早期解決するためにも、親切で親身に対応してくれるかどうかは大切です。
また、トラブルなどが起きた時を想定して、しっかりと対応してくれるかも注目すべきポイントです。トラブルが長引くと、入居者に不満が広がり、退去などの原因になってしまうこともあります。
家賃滞納に関しては、迅速な対応が求められます。対応が遅れたり不誠実だったりすると、問題が長期化したり、慢性化したりする危険があるため、素早い対応力は重要な条件と言えるでしょう。
管理委託の手数料を調べる
管理会社に管理委託をすると、オーナーは手数料を支払うことになります。この手数料は、管理会社によって異なるため、委託費用が適正価格であるかどうかを見極めなければなりません。
手数料の相場は家賃の5%程度と言われていますが、更新時に別途手数料が発生する可能性があるため、しっかりと確認しておくことが大切です。
また、手数料に含まれる業務内容についても注目しましょう。業務の範囲を超えて管理を依頼した際には、別途料金が必要になる会社もあるので注意が必要です。
問い合わせや見積もり依頼をする際には、オーナーが行う管理業務、管理会社が行う業務を明確にして相談すると良いでしょう。
アパートを経営する上では管理業務を滞りなく進めることは確かに大切なのですが、それ以上にオーナー自身がアパートの収益性を考えていることが重要です。
今は管理業務で問題が発生していなくても、経年劣化による修繕箇所が目立つようになり空室対策を十分にできていないようであれば、将来の収益性をシミュレーションしなおしてみた方が良いタイミングです。今一度、事業プランを見直してみましょう。
事業プランの見直しは、賃貸経営のプロであるハウスメーカーに相談しながら進めましょう。頼りになる管理会社の営業マンがいても、セカンドオピニオンとして第三者の意見を聞くことでこれまでになかった観点で事業としてのアパート経営を見直すことができます。
信用できるハウスメーカーを探すには、複数業者を比較し選ぶ必要があります。しかし、一つ一つ経営プランを業者に問い合わせるのは困難です。
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アパート管理の注意点
アパート経営を失敗せずに運営するためには、注意しなければならないポイントがあります。アパート経営を成功させるためにも、注意点をしっかり理解しておきましょう。
業者の得意分野を知る
管理会社には、全国展開をしているような大手の会社と、地域密着型の会社があります。大手業者であれば、知名度が高く入居者の客付力に期待ができます。
一方、地域密着型の業者であれば、地域特性に応じた集客が可能です。大手業者と比較して柔軟な対応が可能といった一面があります。
それぞれの管理会社の規模に応じて、得意な分野が異なるので、まずは管理会社の得意分野を把握しておくことが大切です。
一社だけで判断しない
不動産管理を依頼できる管理会社は複数あります。その中から1社を選んで管理委託をしなければなりません。
自分に合った管理方法を選ぼう
アパート経営を始めるにあたっては、自分で管理を行う自主管理か、管理会社に依頼する管理委託か、管理方法を選ぶことから始めましょう。
自主管理、管理委託にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、管理方法の特徴などを把握し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
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記事のおさらい